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今後の対面サービス業の資金繰り環境に待ち受ける「コロナ」要因と「ウクライナ」要因

2022年04月04日

遠山 卓人

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて厳しい資金繰り環境にあった対面サービス業(飲食業、宿泊業等)だが、「コロナ」要因と「ウクライナ」要因を背景に先行きの不透明感が強まりそうだ。

これまでの対面サービス業の資金繰りについて直近の統計を確認すると、日本銀行の「貸出先別貸出金」によれば2021年12月時点の飲食業、宿泊業向け貸出残高の増加率は2019年12月(コロナ禍以前)比でそれぞれ+26.4%、+17.4%となっており、依然として高水準である。しかし、日本銀行の「全国企業短期経済観測調査」で公表された宿泊・飲食サービスの資金繰り判断DI(2022年3月調査、全規模合計、「楽である」-「苦しい」)も▲40%ptと全業種中最も低い水準にあり、資金繰りは厳しい状態にある。

先行きに関しては、まん延防止等重点措置が全面的に解除されたこと、および「Go To トラベル」事業の再開に向けた準備が進んでいることは朗報であり、対面サービス業の景況改善を予感させる。しかし、一方で感染力が強いとされるオミクロン型の派生型「BA.2」により足元で新規感染者数が増加傾向にあるほか、「デルタ株」と「オミクロン株」が組み合わさった新変異株「デルタクロン株」が海外で発見されているなど、懸念材料もくすぶっている。

また、今後は新型コロナウイルス関連の要因に加え、ウクライナ情勢の悪化が対面サービス業の資金繰り改善を阻害する可能性がある。3月に公表された内閣府の「景気ウォッチャー調査」(令和4年2月調査)によると、景気の先行きに関して「ロシアのウクライナ侵攻が勃発し、原油の価格高騰に伴い、諸物価が上がり、世の中が旅行どころではないというのが実情である。(旅行代理店(営業担当)(東京都))」、「ロシアとウクライナの戦争問題、北朝鮮のミサイル発射、中国と台湾の動向等もあり、今、世界は平常ではない。物が入らなかったり、コンテナの遅れ等もあり、株価も非常に乱高下し、現状は下がっているので、悪くなると思う。(その他飲食[ファーストフード](経営者)(北関東))」などの声があがっており、ウクライナ情勢の悪化が物価上昇や物流の混乱を通じて対面サービス業の景況に影を落とすことが懸念されている。

このように、「コロナ」要因と「ウクライナ」要因を背景に対面サービス業の資金繰り環境の先行きには不透明感が漂っている。資金繰り動向を見るうえでは新型コロナウイルスの感染動向だけでなく、地政学リスクの動向も重要視していかなければならないだろう。

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