コロナ禍で趣味は続けられていますか?

RSS

2022年03月09日

  • 政策調査部 足立 雅準

私はコロナ禍で趣味の多くを自粛しているが、皆さんはどうだろうか。大人数の飲み会はもとより、バンドなどの音楽活動や集団で行うスポーツを自粛している人は多いのではないだろうか。株式会社NEXER(※1)の日本トレンドリサーチによれば、コロナ禍による自粛に伴い、できなくなった趣味がある人は42.6%にのぼるという(※2)。

趣味を抑制することによる閉塞感は、メンタル面の健康にも悪影響を及ぼす。コロナ禍前後における日本のうつ症状のある人の割合は7.9%から17.3%と増加しており(OECD:Tackling the mental health impact of the COVID-19 crisis: An integrated, whole-of-society response(12 May 2021))、これに趣味の自粛もまったく関係していない、ということはないだろう。

では、メンタル不調を回避するために、コロナ禍でもできる趣味を探してみてはどうか。私の身の回りでは、体力維持を目的に1人でできるジョギングを始めたり、ドラマや映画のストリーミングサービスを契約してその鑑賞にいそしんだり、新たにペットを飼い始めたり、長い在宅時間を活用して料理を始めたりしているという方がいると耳にする。

しかし、従前の趣味とは無関係にコロナ禍を機に新たな趣味を見つけた人も多いだろう。今までの趣味ができなくなった人が別な趣味を見つけられるとは限らない。今までの趣味に思い入れがある人ほど、それを超える趣味を見つけるのはむしろ難しい。そこで、解決案を2つ考えてみた。

一つ目は、できなくなった趣味を部分的にでも工夫して再開することだ。そもそも興味があるから趣味となったわけであり、少しだけでも趣味の時間をとれば精神衛生上よい。ただ、コロナ禍が収束するまでは本格的な再開は見込めないから、具体的な再開日を自ら設定し、それに向けてイメージトレーニングをする。集団で行うものであれば、個人練習を行い、再開時に備えて技を磨いておくということが考えられるだろう。

二つ目はこの際、「自分に適した趣味を考える」こと自体を当面の趣味にすることだ。これまでの趣味を含めてこれからの趣味を探すということだが、考えるプロセス自体を楽しみたい。これは自分自身を見つめ直すことでもあり、情報社会で立ち止まることを許されない現代人にとっては、重要なことではないか。スマホの普及などに伴い、情報のインプットが多過ぎて「脳疲労」の状態に陥り、脳の情報処理機能が低下することがあるという話も聞く。毎日決まった時間、スマホの電源をオフにして、自分の趣味について考えてみるのはどうだろうか。

二つの案に共通することは、「考える」ことだ。コロナ禍により意図せずに生まれた時間をそういうことに使えば、メンタルの不調を招きにくくなるだけでなく、パンデミックが晴れて収束して趣味を再開できるようになったときに、生活や人生を以前より豊かなものにするはずである。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。