サマリー
◆2025年10月の家計調査における二人以上世帯の実質消費支出は、前月比▲3.5%と2カ月連続で減少した。複数の需要側統計を用いて補正した世帯消費動向指数(CTIミクロ)で見た実質消費は同▲4.9%と、大きく減少した。振れの大きい品目が下振れしているとみられるものの、その点を割り引いて見ても弱い結果だった。他方、供給側統計である商業動態統計では、CPIの財指数で実質化した小売販売額が同+1.3%と4カ月ぶりに増加した。総じて見れば10月の個人消費は前月から減少したと判断される。
◆個人消費は年度末にかけて緩やかに増加するだろう。実質賃金の上昇が鍵となる。労働需給がひっ迫する中で名目賃金の伸び率は緩やかに高まっていくだろう。物価上昇率は緩やかながら低下していくとみられる。ガソリン税の暫定税率廃止など政府の物価高対策が後押しするだろう。食料品価格の伸び率も鈍化していく見込みだ。ただし、物価上昇の鈍化が緩やかなものにとどまれば、引き続き実質賃金が下押しされ、消費の増加を妨げる恐れがある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
消費データブック(2025/12/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年12月02日
-
2025年9月消費統計
衣料品など半耐久財が弱く、総じて見れば前月から小幅に減少
2025年11月07日
-
消費データブック(2025/11/5号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年11月05日
同じカテゴリの最新レポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
消費データブック(2025/12/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年12月02日
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日

