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21年10月末の外国人労働者数は過去最多だが、減少の瀬戸際に。今後はどうなる?

2022年03月07日

経済調査部 研究員 矢澤 朋子

2022年1月28日、厚生労働省より「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)」が公表された。21年10月末時点の外国人労働者数は172.7万人と「外国人雇用状況の届出」が義務化された07年以降で最多を記録した。ただし、前年比では+0.2%と2年連続で大きく減速した。前年比でほぼ横ばいとなった主要因は、新型コロナ感染拡大防止のための入国制限により、就労可能な在留資格保持者(※1)が21年も純流出となったことであろう。外国人労働者を在留資格別で見ると、「技能実習」と「資格外活動」が前年比で減少となった。

就労可能な在留資格保持者の純流出入、在留資格別外国人労働者数(前年差)

「技能実習」は10年7月より独立した在留資格となって以来、初めての前年割れを記録した。外国人労働者総数に占める割合は20.4%(21年)で、その約半数が製造業に従事している。一方、その約8割を留学生が占める「資格外活動」は2年連続で前年比減少となった。パートタイムでの就労しか認められていないとはいえ、外国人労働者総数に占める割合は19.4%(同)に上り、宿泊業・飲食サービス業に従事する者が最も多い。

産業別の有効求人倍率(パート含む常用)を確認すると、製造業(生産工程の職業)は21年10月にコロナ禍前(19年12月)の水準を上回り、その後も上昇が続く。宿泊業・飲食サービス業(飲食物調理の職業、接客・給仕の職業)はコロナ禍前の水準には届かないものの、21年10月から顕著な上昇が見られる。製造業及び宿泊業・飲食サービス業の就業者数に占める外国人労働者の割合はそれぞれ4.5%、5.5%とそれほど大きくはない(※2)。しかし、技能実習生や留学生などが減少したことは、両産業にとって痛手となったであろう。

さらに、「資格外活動」として働く留学生は、卒業後に日本で就職する者も多い。外国人留学生が日本国内で就職する割合は10年度以降上昇が続いており、19年度では36.9%となった(※3)。留学生が減少することは、現在の労働力のみならず、将来の労働力も失っているということになる。

日本政府は18年12月に「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を発表し、外国人材の受入れや共生のための取り組みを強化しているが、新型コロナ感染対策のためとはいえ海外からのヒトの流入を閉ざしたままでは、この取り組みの意味やこれまでの効果も薄れよう。3月より商用客、技能実習生、留学生などの外国人の新規入国が再開されたため、足元の外国人労働者不足は徐々に解消されるであろう。しかし、日本政府は「外国人労働者をどう位置付けし、今後どうしていきたいのか」について改めて考え、その目標に沿った政策を実施していく必要があると考える。

(※1)専門的・技術的分野(16の在留資格)、技能実習、特定活動、身分に基づく在留資格(4つの在留資格)。なお、留学は原則就労が認められていないが、「資格外活動許可」の取得により短時間労働が可能となるため、本稿では就労可能な在留資格保持者に含めている。
(※2)出所:「労働力調査(基本集計) 2021年(令和3年)平均結果」総務省、「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)」厚生労働省。
(※3)年度内に卒業(修了)した留学生に占める割合(進路不明者を除く)。出所:独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO)。

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