先送りされた新Go Toトラベル、再開後の旅行需要はどう変わるのか?
2022年02月01日
1月ないしは2月中に再開が検討されていたGo Toトラベルキャンペーンは、足元の新型コロナウイルスの感染状況を受け、先送りされることとなった。2022年も観光業界にとっては厳しい滑り出しである。2020年後半の旅行需要の回復に寄与した同キャンペーンに対する期待は大きく、2021年9月以降の景気ウオッチャー調査(内閣府)を見ると、再開を望む声が多く聞かれた。
仮にGo Toトラベルキャンペーンが再開された場合、以下のような制度の見直しが行われる予定である(図表1)。ゴールデンウィークの前までは、割引額の上限(1泊当たり14,000円→交通付き:10,000円、宿泊のみ:7,000円、日帰りの場合は7,000円→3,000円)や割引率(旅行代金の35%→30%)は引き下げられ、地域共通クーポンも旅行代金の15%から平日は1泊当たり3,000円、休日は同1,000円に変更される。また、ワクチン・検査パッケージを活用し、旅行後2週間以内に陽性となった際の報告や行動履歴の記録が利用の条件として追加される。
観光庁によると、割引額の上限や割引率の引き下げ、地域共通クーポンの定額化は中小事業者に配慮したという。このうち、地域共通クーポンの定額化は低価格帯の需要回復に一定の効果があるとみられる。例えば宿泊料が1万円のホテルに泊まる場合、休日に関しては、前回と付与額は大きく変わらないものの、平日の場合は実質的な割引率が高まることになる。価格が低い所に泊まるほど、消費者にとってお得になる制度であるため、平日に低価格帯で需要が増えることが予想される。
また前回は感染を警戒し、公共交通機関を利用した長距離移動を避けようとする傾向が見られた。しかしながら、今回の助成額は交通付きの旅行商品の方が宿泊のみと比べ引き上げられた。そのため、公共交通機関を利用した旅行需要の回復が後押しされるだろう。
ゴールデンウィーク明けから夏の繁忙期までは割引率や上限額がさらに引き下げられる予定となっている。この期間は同キャンペーンを国ではなく都道府県による事業とし、上限はそれぞれの地域で設定できる。制度終了後に需要が急減することがないよう、各自治体はソフトランディングを図るために、その時の需要動向を見極めたうえで、柔軟に割引率などを設定することなどが求められよう。
現在の感染拡大が早期に落ち着き、同キャンペーンが再開されて旅行需要が回復することを期待したい。
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