自分はどのくらいCO2を排出しているのか
2021年12月27日
今年は多くの上場企業にとって気候変動に正面から向き合う「気候変動元年」になったと感じる。年初の頃はCO2排出量の測定方法など初歩的な問い合わせが多かった一方、夏頃からはTCFD提言に基づく気候変動関連開示の具体的な進め方への問い合わせが急増、CO2排出量はサプライチェーンを含めた算出へのニーズが拡大するなど、この1年で企業の気候変動への関心は急速に高まった。
私たちは普段統合報告書等の開示資料を見て企業のCO2排出量を確認しているわけだが、ふとわが身を振り返った場合、日々の生活の中でどのくらいのCO2を排出しているだろうか。そこで、自分自身のCO2排出量を試算してみることにした。
国立環境研究所によれば、家庭におけるCO2排出量は、(1)家庭のエネルギー消費(電力消費も含む)に伴うCO2排出量、(2)自家用自動車の使用に伴うCO2排出量、(3)一般廃棄物の焼却時に発生するCO2排出量、(4)水道利用(浄水場でのエネルギー利用等)に伴うCO2排出量の合計値で試算できるとのこと。そして、その年間合計は一人当たり1.859トン(2019年、うち(1)と(2)の合計では1.753トン)と試算されている(※1)。一方、環境省では抽出調査による家庭のCO2排出量推計を行っているが、(1)と(2)の合計で一人当たり1.18トン(2019年)と推計されている(※2)。
(1)のエネルギー消費(ガスと電気の使用分)について、2019年の年間使用量を確認したところ、ガスが189㎥、電気が2,819kwhだった。使用量からCO2排出量を計算するには、CO2排出係数を使うが、ガスは2.21kg/㎥(東京ガス)、電力は0.462kg/kwh(平成31年電気事業者別排出係数の東京電力の係数(※3))を用いたところ、ガスが417kg、電気が1,302kg、合計1,719kg(=1.719トン)の排出量と計算できた。国立環境研究所の試算だとほぼ平均並み、環境省の調査と比較するとかなり上回っているという結果だった。
ESGに関わる仕事をしている者としては残念な結果となり、来年は自らもCO2排出量削減に向け襟を正して日々を過ごそうと改めて決意したところである。家庭は日本のCO2排出量の14.4%※1を占める。2050年カーボンニュートラルに向けて、まずは現状を把握するべく、皆さんも、一度、自らのCO2排出量を試算してみてはいかがだろうか。
(※1)国立環境研究所 「日本の温室効果ガス排出量データ(1990~2019年度確報値)」
(※2)環境省 「平成31年度家庭部門のCO2排出実態統計調査」
(※3)環境省 「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度 『電気事業者別排出係数一覧』」
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- 執筆者紹介
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コーポレート・アドバイザリー部
主任コンサルタント 宮内 久美
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