2025年10月貿易統計

トランプ関税の悪影響が継続。今後は米中リスクにも警戒が必要

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2025年11月21日

サマリー

◆2025年10月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+3.6%と2カ月連続で増加し、季節調整値も前月比+0.2%と3カ月連続で増加した。輸入金額は前年比+0.7%と2カ月連続で増加した一方、季節調整値は前月比▲3.0%と2カ月ぶりに低下した。貿易収支は▲2,318億円と4カ月連続の赤字、季節調整値では▲42億円と8カ月連続の赤字となった。

◆2025年10月の輸出数量は前月比▲0.4%と2カ月ぶりに減少した。米国向け(同+3.3%)は増加したものの、水準としては引き続き低く、トランプ米政権の高関税政策(トランプ関税)の影響が継続している。米国向けの乗用車は増加した。自動車関税が9月16日に引き下げられたことを受け、現地生産比率の調整や在庫復元需要が幾分あった可能性がある。

◆先行きの輸出数量は弱含むだろう。トランプ関税への対応として、米国での販売価格の引き上げやサプライチェーンの見直しに動く企業は徐々に増えるとみられる。値上げで吸収しきれない追加関税のコストや、現地生産・調達拡大のための追加的なコストが発生することで、企業収益が下押しされることも免れないだろう。こうした状況が各国・地域で起これば、設備投資や個人消費の悪化を通じて日本の輸出の減少に繋がり得る。米中の関税を巡る不透明感や日中関係の悪化も輸出の下振れリスクとして燻っている。

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