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コロナ感染の先進地域の欧州から日本に戻ってきて感じたこと

2021年11月25日

経済調査部 シニアエコノミスト 近藤 智也

欧州の新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染状況は、再び悪化している。10月半ば以降、新規感染者が再び増加に転じ、欧州の一部では、ワクチン未接種者の行動を規制する措置(飲食店等の入店時や就業時にワクチン接種や陰性証明等のパスの提示が求められる)が導入された。だが、その後も感染者の急増が止まらず、感染率が2020年3月からのコロナ禍で過去最高を記録する国も出てきた。このような急変に対して、例えば、オーストリアでは、ワクチン未接種者のみを対象とした外出規制を導入したわずか一週間後に、全住民を対象にしたロックダウンに拡大した。また、オランダのようにスポーツ試合を無観客とする国がある一方、パスを持つ者のみ入場が認められる国もある等、対応は地域や国によって千差万別だ。

英国では、既に10月末時点で欧州トップクラスの感染大国(1日当たりの平均感染者数は約4万人、人口100万人当たりでは約600人と日本の約290倍に相当)だったが、政府は、来る冬に重症者が一段と増えて医療体制が逼迫するリスクを懸念するものの、行動制限の再導入には消極的であり、専らワクチンの接種対象の拡大や追加接種に注力している。

このように、欧州では、経済正常化の進展とコロナ感染の抑制を同時に追求してきたが、足もとでは、景気減速・高インフレに、コロナ感染の再拡大も加わり、厳しい冬を迎えようとしている。

私事で恐縮だが、11月に英国ロンドンから東京に戻り、政府の定める強制隔離3日間を含めたフルメニュー(計14日間)の行動制限措置を経てオフィスに復帰した。以下、その体験を備忘録的に記す。なお、個人的体験・感想の領域を出ないことをご了承いただきたい。

●ヒースロー、羽田、そして強制隔離先の宿泊施設と計3回の検査を経験した。思っていたよりも短い時間で結果が判明したが、日本における唾液採取による検査では、レモンや梅干しの写真を見ても一定量の唾液を確保するのに苦労した。梅干しに馴染みのない海外の人にはイメージが難しいだろう。

●搭乗前と入国時という短い間隔で実施される検査の意義が疑問だったが、隔離期間中に、同じ搭乗機内で陽性者が出たとの連絡を受け取り、改めて検査の必要性を認識した。なお、隔離期間中は、日々のビデオ通話による確認と位置確認がランダムに実施されるため、テレワーク中は気を付けた方がいいかもしれない。

●日本の場合、強制隔離中の宿泊費や3食、検査費、送迎とも政府の費用で賄われる。3食とも弁当で、個人的には十分な量・質だった。ただ、海外の人には馴染みのない食材・メニューもあろう。また、部屋から一歩も出られず、ただ配給のアナウンスがあった時のみドアを開けて弁当を回収しゴミを外に出すというプロセスを3日間繰り返すことになる。ちなみに、英国(イングランド)の場合、レッドリストの国・地域(11月1日時点でレッドリストに記載の国・地域はない)からの訪問者は、10日間の強制隔離費用として約35万円(2,285ポンド)を自己負担する必要がある。

●羽田での手続きはスムーズと感じたが、幾つもの関所を通過するような細かいチェックや、様々な紙ベースでの対応に、デジタル化が進んでいる海外の人は戸惑うかもしれない。一方、書類の確認やアプリの説明担当者は国際色豊かであり、海外からの訪問者への対応は問題ないだろう。

●ワクチン接種率が6~7割以上の欧州各国でも新規感染者が急増しており、その要因の一つとして、ワクチンの効果が時間の経過に伴って低下していくという特徴が挙げられる。従って、ワクチン接種者を無条件で受け入れるのではなく、ワクチン接種の有効期限を設けたり、陰性証明の取得を新たに求めたりする等の対応が必要だろう。

●マスク着用が推奨されるロンドンの公共交通機関やスーパーマーケット等では、昨今、未着用者の割合が高まっているように感じられたが、東京では、電車だけでなく、外を歩く人々がマスクをしている。郷に入っては郷に従えを実践しているが、オフィスでマスクを着用しながらの仕事にはまだ慣れない。

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近藤 智也

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経済調査部
シニアエコノミスト 近藤 智也