サマリー
◆中国国家統計局によると、2025年4月~6月の実質GDP成長率は前年同期比5.2%(以下、変化率は前年比、前年同期比)となり、事前予想を上回った。①「トランプ関税2.0」の悪影響が懸念されたが、米国以外への輸出増加が米国向け輸出の急減を補って余りあったこと、②家電・通信機器の買い替え促進策が、一部地方の補助金の払底を招くほどの活況であったこと、などが、景気堅調の背景だ。これを受けて、大和総研は2025年の成長率見通しを従来の4.8%から4.9%に引き上げた。政府成長率目標の5%前後は達成できるとの見立てだ。
◆2025年後半以降は、デフレ傾向が続き、不動産市場が再び悪化していることに加え、①8月中旬以降の米国の対中国上乗せ関税の行方が不透明であり、楽観視は許されないこと、②エアコンや冷蔵庫など大型家電については、買い替え促進策により昨年9月以降、販売が急増し、2025年9月以降はその反動が懸念されること、などから景気は減速する見通しである。
◆追加の金融・財政政策について、その可能性は残されているが、2025年は年前半の貯金があり、2026年に余力を残すことも考えられる。中国共産党・政府にとって、向こう5年の人事を決定する最重要会議である党大会が2027年に開催されるため、2026年も大幅な景気減速は避けたいところであろう。
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