日本の財政の現状② 歳出と収支

財政シリーズレポート2

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2026年07月18日

サマリー

◆前回レポートで、債務残高と、その決定要因の一つである歳入について解説した。今回は、債務残高を決定するもう一つの要因である歳出と、1年間の歳入と歳出の差である財政収支について解説する。

◆国の一般会計歳出の中で最も大きな割合を占めるのは、社会保障関係費である。社会保障給付費の基本的な財源は社会保険料だが、近年では国と地方による公費負担の割合がいくつかの理由で上昇している。

◆国債費は2025年度の当初予算で28兆円と過去最高額となっている。OECD諸国と比較すると、日本の利払費は、債務残高の大きさに比して現時点では極めて少ないが、日本銀行による利上げ等に伴って、今後は増加していくと見込まれる。

◆財政について議論する際、財政収支と基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の2つが重要な指標である。債務残高対GDP比の安定的な引き下げのためには、継続的に、あるいは一定の期間で均してPBを黒字の状態にする必要がある。また、金利上昇局面となった今、利払費は徐々に増えていくため、歳出の効率化をいっそう進めなければならない。

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