ペットを飼い始めて思うこと

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2021年05月31日

  • 政策調査部 足立 雅準

最近、ペットを飼う人が身の回りで増えている。かくいう我が家でも家族が一匹増えた。コロナ禍で癒しを求めるためとの家族の言い分ではあったが、私の在宅勤務の増加を想定して、家族のストレスの高まりを抑制するという意味合いも捨てきれない。2020年の新規飼育者飼育頭数は、犬が46万2千頭、猫が48万3千頭であり、前年比の増加率は、犬+14%(2019年は同+6%)、猫+16%(同+7%)と伸びが著しく加速した。ペットの増加は統計的にも裏付けられている(一般社団法人ペットフード協会「2020年全国犬猫飼育実態調査」)。

この増加を予見していたわけではなかろうが、「動物愛護管理法」の改正により、犬猫等販売業者に対し、“犬や猫へのマイクロチップの装着、情報登録の義務化”が2022年6月に施行される。犬や猫の遺棄や虐待、脱走による行方不明、保健所に保護された後の殺処分を減らすことが主な目的である。マイクロチップにGPS機能は内蔵されておらず、犬や猫が保護された際は、専用の読み取り機で所有者情報を読み取り、飼い主へ連絡が届くという仕組みである。コストをかけてチップを装着するのは人間側の都合に他ならないが、結果として動物たちを助けることになるだろう。

このマイクロチップ、用途こそ犬や猫のそれとは異なるものの、一部人間への導入もスウェーデン等の海外では進められている。ドアの開閉のための鍵や電子決済等の本人認証として使われることが多いようだ。人間の体内に埋め込まれたマイクロチップは盗まれる恐れもないし、失くしたり忘れたりすることもない、便利でセキュアな点が目立つ。

しかし、懸念すべき点もあるように感じる。例えば、もし将来、私たち人間に対して、GPS機能を内蔵したマイクロチップを体内に埋め込むことが義務化されたらどうだろうか。行方不明者や、犯罪者等の捜索には効果があるかもしれない。コロナ禍の中での人流のコントロールの困難さを目の当たりにすると、人命優先という免罪符を用いれば、新興感染症対策としてチップ装着が制度化される可能性が完全にゼロとは言い切れないかもしれない。

もちろん、そんな社会は想像したくない。常に誰かに監視されていると感じることによる精神的ストレスは想像を絶するものがある。マイクロチップの情報を他人のものと簡単に入れ替えられる技術が開発されたら、なりすましを助長することにもなりかねない。新しい技術を使った便利さを追求する時こそ、先を見据えて、良い面、悪い面をしっかり洗い出していくことが重要だと、最近、我が家の新しい家族と戯れながら改めて感じるところである。

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