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団塊ジュニア世代が70代になるとき

逆ピラミッド年齢構成の衝撃

2021年04月07日

金融調査部 主任研究員 鈴木 文彦

同年齢が210万人と現役世代では最も多い1973年(昭和48年)生まれ。その前後の世代をまとめて団塊ジュニアと呼ぶ。第2次ベビーブームが一巡した1975年、わが国の年齢構成は釣り鐘型のピラミッド(△)だった。今は40代後半の彼らが70代になる2045年にはピラミッドが反転(▽)する見通しである。

わが国の年齢構成

一般論だが65歳を超えるころから入院患者が増え、75歳を超えると要介護の割合が高くなる。団塊ジュニア世代が70代になるころ医療介護のニーズがピークを迎えるのは間違いない。高齢化に伴う課題は彼らの親世代が70代前半となった今も既に現れている。団塊ジュニアの老後が現代と異なるのは、自らを支えてくれる現役世代が今より少ないことだ。

人口の半分近くが55歳以上となる2045年、親世代と同じ年齢で楽隠居というわけにはいくまい。1975年において、当時の定年状況を考え60歳以上と未成年を扶養される側、それ以外の年代を扶養する側とすると、現役世代1.3人で1人を扶養する計算となる。単純計算だが、同じ比率を保とうとすると現在でも65歳過ぎ、2045年では70歳を超えて働かなければならない。健康はもちろん、ある意味「勝負がついた」年代でモチベーションをいかに保つかが課題だ。

逆ピラミッドの年齢構成で現役世代の組織のあり方も変わるだろう。今でさえ年齢が上の者が下の者を使う年功序列を保つのは難しい。幹部を目指す椅子取りゲームは熾烈になり、年齢ではなく能力が上の者が人を使う組織になる。思えば年長者が上に立つ「長幼の序」は富士山型、せいぜい釣り鐘型のピラミッド型で成り立つ価値観だ。逆ピラミッドに反転するのにあわせて変える必要がある。上意下達のタテ社会そのものが時代遅れになるかもしれない。誰も使わず使われず、互いに対等な個人がアドホックに連携する社会だ。

社会の意識もそれなりに変わるだろう。団塊ジュニアはいつでも社会の多数派だったので、彼らの関心事が社会の関心事であり続けた。1975年は団塊ジュニアの親も20代だった。家族のイメージも若い両親と子ども2人の核家族だったが、ライフスタイルの変化や高齢化に伴い夫婦のみや1人暮らしが多くなった。団塊ジュニアの高齢化でいよいよ多数派になる。今は40代だが25年後には70代が最多勢力になる。商品もメディアも政治も70代を意識せざるを得ない。

老境に入り守りに入った年代が居座ることで、社会全体が足下しか見ず将来を顧みないムードに陥ってしまわないだろうか。半分以上が55歳以上の集落を準限界集落というが、日本全体がそうなってしまうのか。いや、そうとも限らない。団塊ジュニア世代はガンプラ、ファミコンで育ち、家にはラジカセやビデオがあった。20代になれば車で郊外のモールに出かけ、世間ではインターネットや携帯電話が普及し始めた。ネット通販にも慣れているので「買い物難民」は深刻な問題にならないだろう。これから社会のデジタル化(DX)が加速し社会はますまずフラット化する。この流れで上下関係まして年齢のもつ意味が薄れるにつれ、変革の工夫と不断の努力が必要だが、逆ピラミッド問題は今考えるほど深刻ではなくなる。

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鈴木 文彦

執筆者紹介
金融調査部
主任研究員 鈴木 文彦