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金融機関OB・OGに活躍の機会を

2021年02月18日

政策調査部 主席研究員 土屋 貴裕

金融の仕組みを解説する活動をされている金融機関OBの方とお話しする機会があり、その際に意見が合ったことが2つあった。

1つは、その方のように金融機関OB・OGが活躍する機会がたくさんありそうなことである。金融機関のOB・OGと一口に言っても、営業、運用、コンプライアンス、市場関係、商品組成など現役時代のバックグラウンドは様々である。お話しした方は運用部門とコンプライアンス部門の経験が長く、資産運用に関する制度の説明や、運用の相談だけではなく、お客様が実際に遭遇した金融商品の営業活動が詐欺ではないか、法令に適っているかどうかの相談も受けているそうだ。資産運用における「セカンドオピニオン」へのニーズともいえ、金融機関の退職者にとって、現役時代の経験を活かせる場が広がっている。

もう1つは資産運用に関する制度が複雑すぎることである。制度の説明で時間がなくなり、人それぞれに合わせた金融商品の選択判断まで至ることが難しいということだ。

これは筆者も同様で、仕事柄、親族や友人から金融に関わる相談を受けるが、相談者は加入している企業年金が確定給付型か確定拠出型かすら把握していないことがある。事情を聞き出してみたところ、どうやら会社の年金制度が確定拠出年金に移行するが、同時につみたてNISAも利用できるようになる、ということであった。制度の違いや意味合いを説明したら、相談者はもうお腹一杯である。肝心の運用商品をどうするかについて、さらに説明を聞いて考える気力はあまり残っていない。

だからこそ、急な制度変更は無理だとしても、なるべくシンプルな仕組みを基本に据えてほしいものである。「所得があれば誰でも○○円を上限として、所得の○○%までの拠出は非課税」、「運用商品はまず3択で、①個人の条件を考慮してお任せ、②大まかなコースは自分で選ぶ、③自分で詳細に選ぶ」といった具合である。制度の説明だけに時間が割かれると、実践的な話題に到達できない。金融機関のOBやOGの皆様には制度の説明ばかりではなく、より経験に即した活躍をしてもらいたいものである。

なお、今回、話を聞いたこの金融機関OBの方は地方出身であるが、今やっている活動は東京が基盤であり、地元に戻る場合にはどう活動すればよいか分からないそうである。金融機関OBが帰郷して活躍する場合は受け皿が必要であり、地方の金融機関や金融関連の諸団体が受け皿となり得るだろう。巷間、様々なマッチングアプリが登場しているが、もしかすると、地方の金融機関と金融機関OB・OGをマッチングさせる手段が必要かもしれない。

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政策調査部
主席研究員 土屋 貴裕