前回宣言時とは異なるアパレル売上の動向
2021年02月15日
現在、10都府県に対して緊急事態宣言が発出されている。Googleが集計した地図アプリの位置情報データによると、小売店や娯楽施設の人出は宣言の発出に伴い急減し、その後はコロナショック前対比▲25%前後で推移している。人出の動きと消費が連動するとすれば、前回宣言時(2020年4~5月)のように不要不急の消費は総じて抑制されていると考えるのが普通だ。
しかし、個社データやPOSデータを基に足元の消費動向を確認すると、アパレル各社の売上の落ち込み方は前回宣言時とは大きく異なることが分かる(図表)。前回宣言時は、ビジネススーツやおしゃれ着を扱う企業(図表ではユナイテッドアローズ)だけでなく、巣ごもり需要拡大がプラスに働きやすい普段着を扱う企業(図表ではユニクロ・しまむら)でも売上が大きく落ち込んだ。一方、今回はいずれの企業でも売上に大きな変化が見られない。
その一因として、今回はアパレル店には休業が要請されなかったことが挙げられるが、コロナ禍でオンライン消費が拡大したことも大きく影響しているだろう。総務省「家計消費状況調査」(二人以上世帯)によると、2019年で世帯当たり1,500円/月程度だった衣類・履物のオンライン消費額は2020年6~12月平均で2,000円/月程度へと増加した。家計は衣類・履物の2割強をインターネット経由で購入している計算だ。
自分自身を振り返ってみると、確かに衣類・履物のネット通販を利用する機会が最近増えている。以前は少し抵抗感があったが、利用してみると想像以上に良いものだ。例えば靴の場合、サイズやヒールの高さ、色、価格、ブランドなどの条件を絞り込むと、それに合う多数の商品をいつでも好きな時に検討することができる。欲しいものの条件がはっきりしている時は実店舗より商品を見つけやすいと感じた。また、ウェブサイトにはスタッフのレビューや試着画像が載せられているケースが多く、実際に使用した際のイメージがしやすくなっている。
コロナ禍で拡大したネット通販は、単に実店舗に行けないから利用するという単純な代替手段ではなく、その利便性によってコロナ収束後もより一層存在感を増してくるのではないか。今後の動向に注目したい。
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- 執筆者紹介
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経済調査部
エコノミスト 山口 茜
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