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コロナ禍の下、米国大統領選挙に賭ける

2020年11月04日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 近藤 智也

欧州では、新型コロナウイルスの新規感染者数が急増しており、懸念されていた感染第2波が現実のものとなっている。欧州各国は感染拡大抑制のため、段階的に規制強化を実施してきたが、10月半ば以降の急増を受けて、人々の行動を制限する措置を矢継ぎ早に強化している。国によっては、経済活動に配慮しながらも、飲食店や小売店等を閉鎖したり、不要不急の外出を控えるようにと、春先と同程度の厳格な全国規模のロックダウンを再導入するケースも増えている。

これらに比べると、10月末現在、英国イングランドで導入されている規制措置は緩やかである(※1)。イングランドの最も厳しいカテゴリー(感染率が最も高いVery High、Tier3)でも、レストランの営業は午後10時まで認められており、フランスやスペイン、ベルギー等のような夜間外出禁止令も出されていない。今春に実施された規制と比べても大きく異なる。ただし、感染状況の悪化から、一段と厳しい措置を求める意見が強まっており、今後どうなるかは不透明である(※2)。

Tier3に指定された地域においては、パブやバーが閉鎖される他、地域ごとに営業禁止の業種が定められ、カジノや賭け事を扱う店舗等がそれに相当する。もっとも、賭け事はオンラインでも可能であり、サイトを見るとスポーツ以外にも様々なものが賭けの対象となっている。例えば、政治関連では、次の英国の首相は誰か、英国とEUの交渉は年末までにまとまるか、次のEU離脱国はどこか等の項目が並んでいるが、最も関心(お金)を集めているのが米国の大統領選挙であろう。あるサイトでは、2億ポンドを超える金額が既に賭けられている。

10月末時点で、ブックメーカーのオッズは、民主党のバイデン候補が約1.5倍、共和党現職のトランプ候補が2.7~3.0倍となっており、世論調査通り、バイデン候補有利と見込んでいる。もっとも、ブックメーカーは、2016年6月の英国のBrexitに関する国民投票や同11月の米大統領選挙の予想を外して、多額の払戻金を負担した過去がある。

2016年の予想が外れたのはブックメーカーだけでなく、アイオワ大学の電子市場参加者も同様だった。2016年の大統領選挙(11月8日投票)では、投票日一週間前時点(11月1日終値)のオッズが民主党候補勝利1.7倍、共和党候補勝利2.3倍だった。投票日一ヵ月前時点(10月8日終値)の民主党1.3倍、共和党5.1倍に比べると、選挙戦終盤にかけて共和党のトランプ候補が追い込んできたものの、それでも民主党のクリントン候補が当選すると予想する人が多かった。

これに対して、2020年(11月3日投票)は、投票日一ヵ月前時点(10月3日終値)で民主党1.3倍、共和党6.7倍と、2016年と同じくトランプ候補の当選に賭ける向きは少数派である。投票日一週間前時点(10月27日終値)でも民主党1.3倍、共和党5.3倍と、トランプ候補のオッズは若干下がったが、2016年に比べて両候補の差は開いたままである。

当コラムの掲載は投票日翌日(11月4日)であり、まだ選挙の大勢は判明していないだろう。コロナ感染の拡大を受けて、投票所を避け、郵便投票が大幅に増えているために、開票や集計に時間がかかり、結果の判明が通常よりも遅れると予想される。また、郵便投票の扱いを巡ってはトランプ候補が疑念を示していることもあり、激戦州における勝敗確定が法廷闘争に持ち込まれればなおさらだ。つまり、誰が大統領になるか決まらない状態が長期化し、賭けた人も気が気でないだろう。はたして、トランプ候補は前回以上の大番狂わせを演じることができるか。くれぐれも、お手持ちの勝馬投票券は最終確定するまでお捨てになりませんように。

(※1)英国内では、スコットランドやウェールズ、北アイルランドの各自治政府がイングランドとは異なるルールで規制措置を実施している。
(※2)10月31日、ジョンソン首相は、イングランドに11月5日から12月2日まで外出を制限するロックダウンを再導入する計画を発表した。今春に実施されたロックダウン同様に、スーパーマーケット等日常生活に必要不可欠な店を除き、小売店や娯楽関連施設が閉鎖される。また、レストランやパブ、バーの営業は、持ち帰り等を除き禁止される。

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近藤 智也

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ロンドンリサーチセンター
シニアエコノミスト(LDN駐在) 近藤 智也