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コロナの影響、企業はいつまで続くとみているのか

2020年10月19日

金融調査部 研究員 藤野 大輝

みなさんは、新型コロナウイルス感染症はどの程度収まってきたと思うだろうか。新規感染者数ベースで見ると10月に入っても日本国内の1日当たりの新規感染者数が500人を超える日がある。経済的な観点から見ると、例えば、9月の日銀短観では業況判断DI(最近)は製造業・非製造業ともに改善の兆候が見られる。とはいえ、やはり新型コロナウイルス感染症の影響は根強く、コロナ以前の水準までは戻っていない。

それでは、新型コロナウイルス感染症の影響はいつ頃収束するのだろうか。収束時期について、上場会社がどのように想定しているのかを有価証券報告書でうかがうことができる(※1)。

2020年3月期の有価証券報告書では、「会計上の見積り」という項目において、新型コロナウイルス感染症の収束時期等の仮定に関する記載が見られた。企業会計基準委員会(ASBJ)や金融庁が、会計上の見積りを記載する上で、新型コロナウイルス感染症に関する一定の仮定を置く必要があるとの見解を示しているためだ。

日経平均株価に採用されている銘柄のうち、3月決算の企業の有価証券報告書を見ると、新型コロナウイルス感染症の影響がいつまで続くかについて、各企業は図表のような仮定を置いていた。ここでいう「影響」とは、企業によって、景気への影響、需要への影響、収益への影響、生産・販売活動への影響などと幅広い。しかし、いずれも企業が自社の資産や収益に係るリスクを識別したものであると考え、ひとまとめに「影響」と呼ぶこととする。

2021年3月期の第2四半期(2020年7月~9月)まで影響が続くとみる企業と第4四半期(2021年1月~3月)まで影響が続くとみる企業が比較的多い。業種によって違いがあり、例えば食品や商社等の業種においては収束時期を早く見込む一方で、自動車等では遅く見込んでいた。また、2022年3月期以降も影響が継続すると想定する企業も見られた。

投資家等にとって重要なのは、こうした仮定について幅をもって見ることである。仮定された収束時期には影響がなくなると信じ込むのではなく、あくまで投資判断の目安とすべきだろう。一方、企業側としては、もし見積りや仮定において重要な変更が生じた場合には、その内容を四半期報告書などでできるだけ早く投資家等に伝える必要があろう。既に有価証券報告書で開示したものとは異なる収束時期を四半期報告書で開示している企業もある。コロナ禍がいつまで続くかがわからない今、企業と投資家等の間に認識の齟齬が生じないようにコミュニケーションをとることが今まで以上に重要であると考えられる。

図表 会計上の見積りにおいて仮定された新型コロナウイルス感染症の収束時期

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藤野 大輝

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