コロナ開示の現況と今後求められる対応

経営者目線での記述情報の開示と適宜のアップデートが重要

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2020年09月25日

  • 金融調査部 研究員 藤野 大輝
  • リサーチ業務部 大和 敦

サマリー

◆新型コロナウイルス感染症の拡大によって、決算・開示に影響が及び、2020年4月20日~2020年9月29日までが提出期限の有価証券報告書について、提出期限が2020年9月末まで延長された。しかし、実際には多くの企業がおおよそ例年通りの時期に有価証券報告書を開示しており、日経平均株価に採用されている銘柄(以下、日経平均採用銘柄)の3月決算企業のうち、9割以上の企業が例年の期限である6月末までに有価証券報告書を提出している。

◆3月決算の日経平均採用銘柄の有価証券報告書での新型コロナウイルス感染症に関する記載を集計すると、「経営方針、経営環境、対処すべき課題等」、「事業等のリスク」、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」などで、影響に言及していることが見て取れる。重要なポイントとしては、経営者目線から、新型コロナウイルス感染症の影響をどのように捉えているのかを、なるべく詳細に投資家等に伝えることであるといえる。

◆有価証券報告書で新型コロナウイルス感染症の影響について、経営者が主体的にステークホルダー等と対話を行った上で、経営者目線での情報が投資家等に共有されることで、さらに投資家等を含むステークホルダーとの対話が深まるという好循環が期待される。

◆既に開示をした記述情報や会計上の見積り等について、重要な変更があれば、その内容を、有価証券報告書だけでなく、四半期報告書等でスピード感を持って適切に開示をすることが求められる。新型コロナウイルス感染症に関する先行きが不透明な今、早期のアップデートの重要度が高まっている。

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