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罰則付き残業規制への対応は進んでいるのか?

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2019年03月18日

経済調査部 エコノミスト 鈴木 雄大郎

2019年4月から罰則付き残業規制が始まる。中小企業や建設業など一部の業種を除いて、臨時的な特別な事情があっても、年720時間、単月100時間、複数月平均(2~6ヶ月のいずれかの平均)80 時間が上限とされることとなった。

企業側が4月になって急に残業時間を削減することは業務を大幅に減らさない限り難しい。また、残業時間の削減にはITを導入し業務の効率化を図ることや、雇用者数を増やし一人あたりの業務を分散させるなど、一朝一夕ではできないものが多い。そこで、4月からの規制を見据え、施行開始前から残業時間を減らしているのか、産業別に見ていくことにする。

産業別の一般労働者の所定外労働時間(残業時間)の推移を示したのが図表である。これまで相対的に残業時間が長かった情報通信業や金融業,保険業は2018年に入り、大幅に減少している。情報通信業は2016年(前年比▲7.4%)、2017年(同▲6.7%)と減少傾向にあったが、2018年は同▲12.2%と減少幅が拡大している。金融業,保険業も2018年は同▲15.0%と大幅に減少しており、全産業の平均を下回った。これまで、長時間労働のイメージが強かったこの2業種では、4月を見据え、着実に残業時間を減らしている可能性がある。

一方で、適用猶予となっている建設業や運輸業,郵便業などの残業時間は高止まりしており、4月から規制が適用される業種とは明確に残業時間に差が生じている。特に建設業の残業時間は全産業の平均と比べて1.5倍となっている。建設・採掘の職業の有効求人倍率(常用(除くパート))も5.06倍(2018年平均、出所:厚生労働省統計)と高く、人手不足への対応が急務だろう。適用猶予は5年間であり、2023年までに残業時間を削減するための施策が求められる。

4月から施行される改正入管法(※1)では、建設業は今後5年間で最大4万人外国人労働者を受け入れる見込みである。こうした新たな人材の流入が人手不足の解消につながることを期待したい。

最後に余談ではあるが、当社は東洋経済新報社の会社四季報未上場会社版によると産業分類上、情報・システム・ソフトに該当する。当社でも残業時間に対しては高い問題意識を持っており、法定外労働時間や36協定で定めた基準より厳格な社内規定による上限が設けられている。現在就職活動中の学生で、当社の業務に興味があり、ワーク・ライフ・バランスを充実させたいと思っている学生は是非、当社の新卒採用に応募していただきたい。

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