外国人労働者受け入れの賃金・生産性への影響

都道府県パネルデータによる計量分析

RSS

2019年02月25日

サマリー

◆2019年4月から施行予定の改正入管法では、就労を目的とする在留資格(特定技能1号、2号)が創設され、これにより今後5年間で最大35万人程度の受け入れが見込まれている。ただ現状では、外国人労働者は都市圏や製造業が盛んな地域に集中する傾向が強い。

◆外国人労働者の受け入れの影響を都道府県パネルデータにより計量的に分析すると、外国人労働者比率が1%pt上昇すれば、賃金は男性で0.6%程度とプラスになる一方、女性では影響は見られなかった。業種別では、男性は情報通信業で大きなプラスであり、宿泊業,飲食サービス業、サービス業(例えば自動車整備業やビルメンテナンス業等)でも有意にプラスだ。さらに外国人労働者が10万人増加すれば、製造業の労働生産性は0.25%上昇するとの試算結果が得られた。

◆中長期的には、外国人労働者の受け入れにより日本人労働者の就業条件は向上する可能性が高いが、併せて経済・社会の変化に対応できるよう、日本の労働者に対する職業訓練や外国人労働者の社会統合政策なども必要だ。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート