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健康寿命は目標以上に延びている

2018年12月26日

政策調査部 研究員 亀井 亜希子

2001年に「健康寿命」(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)(※1)の公表が開始されて以降、健康保険組合や民間事業者による全国的な健康づくりの取組み成果により、健康寿命は年々上昇してきた(図表1)。特に、2010年以降、政府が新成長戦略において「健康寿命の延伸」(平均寿命を上回る健康寿命の延伸)を掲げたのを機に、健康づくりの取組みが急速に進むこととなった。2013年には、政府は「日本再興戦略」において「2020年までに国民の健康寿命を1歳以上延伸」というKPIを掲げた。

2018年3月の厚生労働省の公表では、2016年、早くもその目標を達成したことが明らかになった。日本人の健康寿命の延伸傾向が今後も続けば、2019年には、女性は2010年より1.48歳、男性に至っては1.97歳も延伸することが見込まれる。「未来投資戦略2018」では、健康寿命を2010年比で「2025年までに2歳以上延伸」というKPIが追加になったが、2025年は、このKPIよりも大きく延伸する可能性さえある。

さらに、平均寿命と健康寿命の差で表される「不健康な期間」(日常生活に制限のある期間)も、2001~2010年の10年間はほぼ横ばいであったが、2016年の「不健康な期間」は、2010年と比べて男女ともに約5か月短縮した。

「不健康な期間」はあまり短縮しないとしても、必ずしも悪いわけではない。医療や介護の質の向上及び技術進歩によって、日本人は病気や介護状態になっても、体調良好に長く生き続けることが可能となったともいえるからである。厚生労働省は、「健康寿命」の算定において、「日常生活に制限のない期間の平均」と「自分が健康であると自覚している期間の平均」、「日常生活動作が自立している期間の平均」の3指標を考慮している(※2)。これだけ健康寿命が延伸しているということは、健康な人が増加しているだけでなく、病気を抱えている人も、良好な身体管理により、体調が安定しており、日常生活において不自由が少ないと感じている期間が長くなっているということだろう。

残る課題は、健康寿命及び「不健康な期間」の地域格差の縮小である(図表2)。健康寿命の地域格差は2010年よりも縮小してきたとはいえ、2016年時点でまだ最大2.0~2.7歳程度の健康寿命の差が生じている。「不健康な期間」の地域格差も男女ともに3年前後ある。日本の何処に住んでいる高齢者でも健康で自立した暮らしが送れる社会の実現が待たれる。

(※1)厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会「健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料」(平成24 年7 月)
(※2)平成24 年度厚生労働科学研究費補助金「健康寿命の算定方針の指針」(平成24 年9 月)。

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