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2020年を契機に生まれる社会の概念と言葉

2018年10月24日

コンサルティング本部 顧問 三好 勝則

オリンピック・パラリンピック開催時には、世界中から人が集まる。それに合わせた新たな取り組みが、世界に伝播し、社会に浸透する可能性を持つ。

1964年の東京大会にあたっては、デザインで分かりやすく伝えることが考えられた。
シンボルマークに続いて取り掛かったのが、日本語に馴染みがない海外からの来訪者へのコミュニケーション手段として、分かりやすい絵で示す「ピクトグラム」を全面的に導入することであった。各競技をシンボル化して入場券や競技会場案内に使われた。また、トイレ、ロッカー、レストランなどの施設が一目でわかるデザインを作成した。ピクトグラムによる全面的な表示が、以降の大会に引き継がれるだけでなく、よく見かける男女のトイレを示すピクトグラムは、この時のデザインが世界に普及している。また、商品の用途や使用方法、取扱上の注意事項が絵で表示され、一目で判断できるようになっている。海外からの観光客にもピクトグラムは親切である。バリアフリー化の一つとして定着してきている。

障がい者の活動に関しては、「アンリミテッド(Unlimited)」(※1)が2012年のロンドン大会で、主要な文化プログラムの一つとして展開された。このアンリミテッドは、障がいのあるアーティスト本人や所属する芸術団体に作品の制作を委託し、英国全体で披露し、パラリンピックに合わせてフェスティバルを開催するという、大規模で、斬新かつ意欲的な作品紹介であり、障がいのあるアーティストの芸術活動に対する認知度を向上させた。2012年のロンドン大会以降は、英国内だけでなく世界各地に向けて活動を拡大し、障がいのあるアーティストの活動の国際的な支援と障がいのある人が芸術に近づける場を提供している。
日本では、「ターン(TURN)」(※2)が2020年の東京大会に向けて2015年から始動している。TURNは、障がいの有無や世代、国籍などの違いを超えた人々の出会いから生まれる価値の表現を、アーティストが見つける活動として実施している。その目的は、人と違うことからくる違和感や不都合が社会に存在し、その感覚をマイノリティとして抱えたまま生活している人が、その人らしさとしての価値に気付くための活動を通じた社会づくりである。
アンリミテッドとターンはともに、「障がいを持つ」という現状の表現ではなく、人々が持つ可能性や多様性を示す言葉であり、芸術が人の生き方を支える大きな機能を持っていることを示している。

2020年は日本が世界から注目されている。社会をより良くするモデルを作り、世界に示せるか、その気概が問われている。

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