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仮想通貨は決済手段として浸透できるか

2018年09月05日

経営コンサルティング第一部 主任コンサルタント 吉田 信之

ブロックチェーンやフィンテック、ビットコイン等々、仮想通貨関連のキーワードがマスコミ紙面を飾るようになって久しい。ただどちらかというと、仮想通貨はそのボラティリティの高さ(価格変動の激しさ)から、いくら儲かったとか、○%暴落したという様な投機的な側面で話題にあがることが多いように思う。昨年、日本においても仮想通貨トレードにより何百人もの億万長者が誕生したというニュースは記憶に新しいところであろう。

しかし、2017年に施行された改正資金決済法において、仮想通貨は次のように定義されている。仮想通貨とは、「物品を購入し、若しくは借り受け、(中略)、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(中略)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」である、と。すなわち、仮想通貨の本来の目的は、その「決済手段」としての機能にあるといえる。
例えば、代表的な仮想通貨であるビットコインは、①(現金と同じように)匿名で取引できること、②電子的な決済手段として活用できること、③財産的価値であること、④(銀行を介さずに)低コストで国際送金が可能であること、⑤世界中の多くの通貨と交換可能であること、等々の特徴を有している。また、国家や中央銀行といった発行主体が存在しない(すなわち債務性を有していない)ことから、従来の通貨と異なり、新興国等でしばし行われる極端な通貨政策への対抗手段となりうる。さらに、債務性を有していないという点で、電子的な決済手段ではあるが、紙幣や預金の情報をICカードやサーバーなどに記録させて管理する電子マネーとも異なる。

一方、仮想通貨は、その匿名性の高さや、未だ法制度が十分に整備されていないことから、いわゆるマネーロンダリング等の決済手段として悪用されているといった点も指摘されてきた。また、過去の仮想通貨消失事件や、仮想通貨コア開発者による分裂騒動といった事態も、仮想通貨のイメージに暗い影を落としている。国家や中央銀行が中央集権的な管理を行っていない点において、そのガバナンスシステムの信頼性に疑問符をつける人も少なくない。

このように、仮想通貨は現在、決済手段としてその確固たる地位を確立できるか、世界中の人々によって審議のランプが点灯している状況であるといえよう。一方で、もし仮に現在のソブリン通貨と同等、もしくはそれに代わる地位を確立できれば、それは革新的なブレイクスルーをもたらす可能性も秘めている。現在、仮想通貨が抱える多くの課題をクリアし、仮想通貨が主要な決済手段として浸透する日は、はたしてやってくるのだろうか。

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吉田 信之

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