脱プラスチックの流れの中で、土産物屋でもらう「小分け袋」。やめませんか?

RSS

2018年07月19日

  • 河口 真理子

脱プラスチックの動きが世界的に加速している。2015年のG7エルマウ・サミットでは海洋ゴミ対策の実施を首脳宣言で約束し、今年のG7シャルルボワ・サミットでは、海洋プラスチック問題等への行動計画を採択し、プラスチック用品を全て再利用可能にすること(2030年まで)や不要な使い捨てプラスチックを大幅削減することを謳った「海洋プラスチック憲章」に日米以外の参加国は署名した。

最近の企業の動向もニュースで取り上げられている。マクドナルドやスターバックスが相次いでプラスチックストローの廃止を、IKEAが使い捨てプラスチックの扱い全廃を打ち出すなどの動きをみると、企業の環境対策として脱プラスチックは目玉になるだろう。身近なところでも先日購入した入浴剤バスクリンのパッケージはプラスチックではなく紙になっていた。企業、特に消費財メーカーのCSRや環境担当者との対話でも容器包装は脱炭素と並んでこれからの経営課題と考えるところが増えている。こういう流れがある中で、どうしても解せない風潮がある。

土産物屋やスイーツショップでくれる「小分け袋」だ。複数買うと必ず「小分け袋はいくつ御入り用ですか?」と聞かれる。場合によっては何も言わずに商品と同じ数の袋を一緒に入れた大袋を渡されることもある。(なお、菓子や土産物屋の袋は紙が多いがビニールの袋も少なくない。また紙だったとしても、必要なければ資源の無駄遣いである。)確かに複数の人に配る場合、お菓子を渡す場所を考えた場合、袋が必要な場合もある。以前はこういう場合は袋を要求していたと思う。しかし今や向こうからオファーするのが当たり前だ。しかし実際必要ない状況も多いはずだ。小さいパッケージならバッグに入るだろうし、また相手の自宅に伺う場合や、その場で食べてしまう場合は必要ないだろう。
なおさらにひどいと思うケースは1つだけ買ったお菓子を袋に入れながら、「小分け袋は要りますか?」と聞かれる場合である。既に持ち歩き用の袋に入っているのに? なんでもう一つ? それは多分相手に渡すまでに持ち歩いた袋は汚れている可能性があるから、相手に渡す前にきれいな袋に差し替えて、ということなのだろう。まあ 和の礼を尽くす、おもてなしの心、ということなのかもしれない。

因みにEUは2015年にレジ袋削減の包括指令を導入しており、2018年末にはレジ袋が有料化されることになる。中でもフランスでは2016年に使い捨てプラスチック製レジ袋を禁止した。欧州だけでなく、バングラデシュ、南アフリカ、中国、韓国など世界多くの国で使い捨てレジ袋の禁止や有料化などの措置が取られている。こうした世界の脱プラスチックの流れの中で小分け袋を配る日本の新たな風習は如何なものなのだろうか。外国からの観光客に、おもてなしのつもりで各土産物屋が袋渡し合戦などやっていたら、逆にひんしゅくを買わないか?

私は絶対に必要な場合以外はこうした袋は断ることにしているが、そうすると大抵「助かります」「ありがとうございます」とお店には喜ばれる。店側も出来れば減らしたいと思っているのだ。ただでさえ、日本の脱炭素の取り組みは世界から後れを取っている。新たに浮上した脱プラスチックの問題でもこのままではさらに後れを取りそうだ。小分け袋という習慣からぜひ見直したいものだ。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。