2025年07月14日
サマリー
◆2025年7月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「東北」を筆頭に4地域で改善した一方、「九州・沖縄」「北海道」など5地域で悪化した。
◆分野別に見ると、家計関連のインデックスは、消費が「九州・沖縄」「北海道」「北陸」などで悪化した。「九州・沖縄」「北海道」は円高のインバウンドへの影響で百貨店の売上が悪化し、「北陸」は国内旅行を中心に観光で弱さが見られる。長引く物価高で節約志向が強い地域もある。一方、「関東甲信越」「東北」などの地域では消費が改善した。両地域では家電分野が改善したほか、特に「関東甲信越」ではインバウンドの押し上げ効果で外食や旅行関連など対面型サービスが改善した。住宅投資は「北陸」などで改善した。能登半島地震などの被災家屋建て替えに伴う持家の受注が増加している。雇用・所得環境も「北陸」で改善が見られる。企業関連では、省人化や生産性向上に積極的な「北海道」などで設備投資が改善した。一方、EV失速に伴う車載半導体需要回復の遅れの影響を受けた「北陸」や、各国の通商政策の不確実性により、一部地域で設備投資が悪化している。生産は「北陸」「九州・沖縄」「東北」で悪化しており、「北陸」では電子部品・デバイスや金属製品、「九州・沖縄」では汎用・生産用・業務用機械の生産が弱めだ。一方、「四国」「関東甲信越」は生産が改善しており、特に「四国」では化学が改善しつつある。輸出は中国向け半導体関連装置の需要一服などにより「九州・沖縄」で悪化した。企業マインドは「北海道」「関東甲信越」「東海」などで悪化の一方、「東北」などでは改善した。
◆全国的に見ると、緩やかな回復基調にはあるが、地域でばらつきが見られる。特に消費に関しては、一部の地域で改善したものの、円高の影響によるインバウンド需要の弱さや米など物価高の影響を受けて、前回(2025年4月)よりも勢いは弱まっている。また、米国の関税引き上げ前の駆け込みによる生産の改善や、省人化・生産性向上を目的とした設備投資の改善が見られる地域がある一方で、在庫調整、各国の通商政策の不確実性などが影響し、生産や設備投資が先送りされている地域もある。今後は、消費の回復や設備投資の改善が期待されるが、物価上昇、海外経済や為替相場の動向、各国の通商政策の影響には引き続き注意が必要だ。地域ごとの経済状況を注視しつつ、全体の回復基調を維持する対策が求められよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
「中国」などで企業マインドが悪化~消費は堅調だが、先行き高まる不透明感
2025年4月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年04月09日
-
緩やかな回復基調、地域でばらつきも~消費者の節約志向や投資意欲の変化を注視
2025年1月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年01月14日
-
「東海」「四国」など7地域で改善~石破新政権や海外情勢の動向も注視
2024年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2024年10月09日
同じカテゴリの最新レポート
-
「中国」などで企業マインドが悪化~消費は堅調だが、先行き高まる不透明感
2025年4月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年04月09日
-
緩やかな回復基調、地域でばらつきも~消費者の節約志向や投資意欲の変化を注視
2025年1月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年01月14日
-
「東海」「四国」など7地域で改善~石破新政権や海外情勢の動向も注視
2024年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2024年10月09日
最新のレポート・コラム
-
「九州・沖縄」「北海道」など5地域で悪化~円高などの影響で消費の勢いが弱まる
2025年7月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年07月14日
-
2025年5月機械受注
民需(船電除く)は小幅に減少したが、コンセンサスに近い結果
2025年07月14日
-
不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(TISFD)の構想と日本企業への示唆
影響、依存、リスクと機会(IDROs)をいかに捉え、対処するか
2025年07月14日
-
トランプ減税2.0、“OBBBA”が成立
財政リスクの高まりによる、金融環境・景気への悪影響に要注意
2025年07月11日
-
中央値で見ても、やはり若者が貧しくなってはいない
~20代男女の実質可処分所得の推移・中央値版
2025年07月14日
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日