「九州・沖縄」「北海道」など5地域で悪化~円高などの影響で消費の勢いが弱まる

2025年7月 大和地域AI(地域愛)インデックス

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サマリー

◆2025年7月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「東北」を筆頭に4地域で改善した一方、「九州・沖縄」「北海道」など5地域で悪化した。

◆分野別に見ると、家計関連のインデックスは、消費が「九州・沖縄」「北海道」「北陸」などで悪化した。「九州・沖縄」「北海道」は円高のインバウンドへの影響で百貨店の売上が悪化し、「北陸」は国内旅行を中心に観光で弱さが見られる。長引く物価高で節約志向が強い地域もある。一方、「関東甲信越」「東北」などの地域では消費が改善した。両地域では家電分野が改善したほか、特に「関東甲信越」ではインバウンドの押し上げ効果で外食や旅行関連など対面型サービスが改善した。住宅投資は「北陸」などで改善した。能登半島地震などの被災家屋建て替えに伴う持家の受注が増加している。雇用・所得環境も「北陸」で改善が見られる。企業関連では、省人化や生産性向上に積極的な「北海道」などで設備投資が改善した。一方、EV失速に伴う車載半導体需要回復の遅れの影響を受けた「北陸」や、各国の通商政策の不確実性により、一部地域で設備投資が悪化している。生産は「北陸」「九州・沖縄」「東北」で悪化しており、「北陸」では電子部品・デバイスや金属製品、「九州・沖縄」では汎用・生産用・業務用機械の生産が弱めだ。一方、「四国」「関東甲信越」は生産が改善しており、特に「四国」では化学が改善しつつある。輸出は中国向け半導体関連装置の需要一服などにより「九州・沖縄」で悪化した。企業マインドは「北海道」「関東甲信越」「東海」などで悪化の一方、「東北」などでは改善した。

◆全国的に見ると、緩やかな回復基調にはあるが、地域でばらつきが見られる。特に消費に関しては、一部の地域で改善したものの、円高の影響によるインバウンド需要の弱さや米など物価高の影響を受けて、前回(2025年4月)よりも勢いは弱まっている。また、米国の関税引き上げ前の駆け込みによる生産の改善や、省人化・生産性向上を目的とした設備投資の改善が見られる地域がある一方で、在庫調整、各国の通商政策の不確実性などが影響し、生産や設備投資が先送りされている地域もある。今後は、消費の回復や設備投資の改善が期待されるが、物価上昇、海外経済や為替相場の動向、各国の通商政策の影響には引き続き注意が必要だ。地域ごとの経済状況を注視しつつ、全体の回復基調を維持する対策が求められよう。

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