不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(TISFD)の構想と日本企業への示唆

影響、依存、リスクと機会(IDROs)をいかに捉え、対処するか

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2025年07月14日

  • 金融調査部 研究員 中 澪

サマリー

◆不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Inequality and Social-related Financial Disclosures:TISFD)は、社会的不平等に起因して企業や金融機関がどのようなリスクと機会に直面しているのか、いかにそれらに対処しているのかについての情報開示フレームワークの開発に取り組んでいる。多様なステークホルダーの意見を踏まえ、2026年末に初版の公表を目指している。

◆TISFDは、その構想において「人々が置かれた状態」に焦点を当て、社会的不平等と事業活動の関係を、自然や気候との関わりも含めた包括的な視野で捉えることに重要な特徴がある。人に関連する影響、依存、リスクと機会(IDROs)に企業や金融機関が対処し、システムレベルのリスクを管理できるようにすることを目標としている。IDROsの特定や評価においては、ウェルビーイング、人権、人的資本と社会関係資本が重要な概念として考えられている。

◆TISFDの情報開示フレームワークは未だ開発段階にあるため、今後の展開を注視する必要がある。日本企業が今からできることとして、TISFDの構想や方向性、重要概念の理解を深めることが有効である。また、既存のサステナビリティ報告基準やタスクフォースとの相互運用性が重視されていることから、これらの基準等に則した取組みとその情報開示を進めていくことで、より円滑に対応できると考えられる。

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