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金利とPER ~日本株のPERは低すぎでしょ~

2018年05月14日

経営コンサルティング第一部 主席コンサルタント 太田 達之助

米国の金利上昇が続いている。2016年6月に1.5%を下回っていた米国10年国債の利回りは3%を突破した。金利上昇を受けて米国株は2月以降大幅に下落した。
金利と株価評価指標であるPER(株価収益率)には大きな相関関係がある。PERは株価を1株当たり利益で割って算出する。このPERの逆数である「株式益回り」つまり1株当たり利益を株価で割った値を金利と比較することに意義があるのだ。株式益回りは、株価(=投資元本)に対して、1株当たり利益(=投資リターン)がどれだけかという意味である。PERが25倍であれば株式益回りが4%、PERが20倍であれば株式益回りが5%になる。
長期金利と株式益回りの差がイールドスプレッドであるが、投資家は債券か株式か割安な方に投資しようとするので、単純に考えるとイールドスプレッドは安定的に推移するといえる。今年になって、米国金利が2.4%から3.0%に上昇したことにより、米国株のPER(S&P500・予想利益ベース)が19倍から17倍に下落したのは理にかなっているわけだ。

一方、株式市場関係者の間では、PERの国際比較を行ない、株価の割高・割安を論じるケースがみられる。例えば、米国株のPERが18倍、欧州株のPERが15倍なので、日本株のPER15倍には割安感がない、といったように。こうした議論には決定的に欠落している視点がある。各国の金利水準の差だ。先に述べたように、金利水準が低ければ低い株式益回り、つまり高いPERが許容されるはずである。

2018年4月末時点での日本の長期金利はゼロ%近辺で世界最低水準である。また日経平均株価の予想PERは13倍(株式益回り7.7%)と先進国ではかなり低い方である。この状態はいくら何でも異常ではないか。
仮に米国の金利及び株価水準(長期金利3%・PER17倍=株式益回り5.9%)をベンチマークに考えると、金利差が3%ある日本株の株式益回りは2.9%、PERは約34倍、つまり株価が約2.6倍になってもよいことになる。もちろん、この議論が少々乱暴であることは承知しているが、それにしても日本株のPERは低すぎる。

日本株が割安に放置される理由としては、日本企業の資本効率の低さ、株主を重視しない経営姿勢などの要因が大きい。しかし、歩みこそ遅いが、これらの要因は着実に解消の方向に向かっている。日本株が正当な評価を得て上昇していくことを、国富増大の観点からも待ち望んでいる。

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