人手不足時代の外国人雇用事情
2018年03月05日
外国人労働者が増加している。
厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によると、2017年10月末時点の外国人労働者数は128万人。前年より19万人増加しており、増加は5年連続であった。
全就業者に占める外国人労働者の割合は2%ほどであるが、この1年で増加した就業者のうち、外国人労働者が占める割合は3割強に上る(※1)。足下の人手不足への対応として、いかに外国人労働者に頼ってきたかを物語る数字だ。
実際に、どのような産業で外国人労働者は増加しているのか。データを見ると、「製造業」(前年差+5万人)、「サービス業(他に分類されないもの)」(同+4万人)、「宿泊業、飲食サービス業(同+3万人)、「卸売業、小売業」(同+3万人)などで増加が目立つ。中でも、製造業では「技能実習」、他3産業では「資格外活動(留学)」の在留資格に基づく就業者が増加している。
外国人労働者が増加しているというのは、実感とも一致する。居酒屋で接客する店員や、コンビニでレジを打つ店員が外国人だということは、いつの間にか見慣れた光景となった。筆者のよく行くコンビニでは、日本人より外国人の店員に対応されることの方が多いくらいだ。そうした日常生活を送る中で、外国人労働者をごく身近なものとして感じるようになった日本人、また、「自分も働いてみよう」という気持ちになった在留外国人も少なくないのではないか。
しかし、日本の外国人労働者受け入れ体制はいまだ整っていない。高度人材の受け入れには前向きだが、単純労働者の受け入れは認めないというのが原則だ。ただ、現実には、技能実習生や留学生として、事実上の単純労働者が増えており、人手不足への対応として外国人労働者に頼っている部分も大きい。そうした状況がある今だからこそ、外国人労働者受け入れに関する議論をさらに深めていく必要があるだろう。
余談だが、国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」(2015年)によると、夫婦が知り合ったきっかけを「職場や仕事の関係で」「アルバイトで」と答えた人の割合は4割弱。職場に外国人労働者が増えれば、国際結婚をする人も増えるかもしれない。
(※1)データは、就業者、外国人労働者ともに各年10月時点の比較。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
- 執筆者紹介
-
経済調査部
エコノミスト 山口 茜
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
「103万円の壁」与党改正案の家計とマクロ経済への影響試算(第4版)
71万人が労働時間を延ばし、個人消費は年0.5兆円拡大の見込み
2025年01月21日
-
欧州サイバーレジリエンス法(EU Cyber Resilience Act)の発効
DIR SOC Quarterly vol.10 2025 winter 掲載
2025年01月21日
-
2024年11月機械受注
民需(船電除く)は2カ月連続で増加し、政府の基調判断は上方修正
2025年01月20日
-
米銀大手のビットコイン現物ETF保有、急増
【2024年推移】ヘッジファンドに迫る、約$7.2億保有の大手銀行あり
2025年01月20日
-
ソーシャルメディアは経済への影響力を増すか?
2025年01月20日