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増える配当と減らぬ紙

2017年12月19日

金融調査部 主任研究員 長内 智

12月は会社員の冬のボーナス支給月であり、景気が良いときは、まとまって入るお金をどう使うか楽しみながら頭を悩ませる人も少なくないだろう。ただ今回のコラムは、冬のボーナスではなく、その少し前の11月末から12月初旬に集中する「投資」と「お金」に関わる定例イベントについてである。株式投資の経験のある方はすぐにピンときたかもしれないが、毎年この時期に、3月期決算企業の9月中間配当が支払われる。


一介の個人投資家である筆者にとって、近年、複数の企業から受け取る配当金が徐々に増加していることが最大の関心事だ。これは、企業の利益が着実に増加するなかで、増配する企業が増えていることによる。今年の冬も、証券口座に振り込まれる一部企業の配当金が小幅に増加したのを見て、企業の「稼ぐ力」の向上と前向きな株主還元姿勢をあらためて実感した。


このように少しずつ配当金が増えるのは嬉しい反面、この時期に毎回もったいないと感じることがある。それは、配当の支払いにあわせて企業から送付される株主関係書類の処分だ。個別銘柄固有のリスクを避けるために複数の企業へ分散投資をすると、投資した企業の数だけ送付される書類が増加し、それらをまとめて捨てることになる。


もちろん、同封される株主向け冊子などは、今後の投資方針の決定や投資先企業に対する関心を高めるという面で役立っている。ただ筆者は、その紙の郵送物をネット上の証券口座での電子提供に切り替えるべきではないかという問題意識を持っている。企業にとっては、僅かながらもコスト削減につながるし、紙の削減という点でエコでもある。個人投資家にとっては、郵送より早く情報が取得でき、かつ書類を処分する手間もなくなる。


実は、電子提供への切り替えについて、制度上のボトルネックは存在しない。現実的な問題は、証券会社と企業のシステム対応や、ネットの利用に慣れていない個人投資家への対応であろう。ただし、株式関連の手続きをネット上の証券口座で済ませる人が、昔に比べてかなり増えている現状を踏まえると、そのハードルは決して高くない。将来的に、一部の個人投資家が情報入手の面で不利益を被らない形で、配当に伴う株主関係書類を電子提供へと切り替えることに期待したい。


これまで減らない紙の問題について指摘してきたが、この時期に届くのが待ち遠しい紙もある。それは、株主優待の商品カタログだ。何にするか毎回悩むが、今回は洋菓子の詰め合わせを選択した。最近は一律公平な株主還元という観点から株主優待を廃止する企業も出ているが、個人投資家を増やすには、「紙より団子」という視点が重要かもしれないと考えさせられる今冬の定例イベントであった。

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長内 智

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金融調査部
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