消えゆくバイクの名車は環境規制が原因?
2017年09月19日
今年の9月からバイクの排ガス規制が強化されたことで、その新たな規制に対応できずに、8月で生産終了となったモデルが相次いだ。普段であれば、バイクの生産終了が大きく注目されることはない。しかし、今回は長年人気を誇ってきた名車たちが揃って生産終了に追い込まれたこともあり、ニュースサイトのトップに見出しが載ったり、特集記事が組まれたりと、予想以上に大きな反響を呼んでいるようだ。
生産が終了するのは、ホンダの「モンキー」、ヤマハ発動機の「SR」、スズキの「グラストラッカー」、川崎重工業の「エストレヤ」など、いずれもバイクに関心のある人にとってよく知られたモデルである。「モンキー」にいたっては、今年ちょうど50周年という節目の年であり、排ガス規制の強化によって半世紀もの歴史に幕が下ろされた形となった。また、「SR」は、筆者が大学時代にバイトをして何とか中古車を購入したバイクであり、とりわけ思い入れが深い。
バイクの国内新車販売台数は、1982年に約330万台とピークをつけてから長期的に減少傾向が続く。2016年は30万台後半と40万台を下回っており、この35年間で国内市場は驚くほど縮小してしまった。バイクメーカーにとって、売上が減るなかで厳しい環境規制に対応するというのは、技術開発や追加装備といったコスト面での負担が非常に重い。その結果として、次々と生産終了に追い込まれたのである。
さらに、欧州では、2020年に現行の「ユーロ4」から「ユーロ5」へと規制が一段と強化される予定となっている。8月に生産を終了した一部のモデルについては、新たな規制に対応するために今後も技術開発を続け、新モデルとして復活する方針が明らかにされた。しかし、国際的な規制強化の潮流を踏まえると、ひとたび復活できたとしても、さらなる規制強化によって再び市場から姿を消してしまうおそれがある。
そもそも、国内のバイク市場の縮小は、規制強化が主因なのだろうか。たしかに、規制強化に伴う対策費の増加によって本体価格が大幅に値上がりしており、そのことがバイク販売に対してマイナスに作用しているのは疑いのない事実であろう。しかし、より深刻なのは、少子化でバイク購入層である若い世代が大幅に減少していることや、彼らの消費スタイルの変化といった構造問題だと考える。
国内市場は、こうした構造問題が改善しない限り、今後も縮小傾向が続くとみられる。ただ、明るい話題が全くないわけでもない。近年、バイクから離れていた人が再びバイクに乗り始める、いわゆる「リターンライダー」が増加しており、レンタルバイクという新たな乗り方も増えている。これらがバイク市場の救世主になるか、今後の動向が注目される。いずれにせよ、バイクの名車が全滅することになれば、筆者が将来「リターンライダー」として戻る道が閉ざされてしまう。このことが目下の心配事だ。
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