一人の「若者」として、若年層の投票率低迷を考える
2017年08月28日
高齢化によって有権者に占める高齢者の割合が上昇している。さらに、図表のとおり、以前と比較すると若い年代ほど投票率の下落幅が大きく、総投票数における存在感の希薄化が懸念される。意識調査(※1)によれば、2016年の参議院選挙で投票に行かなかった若年層(18 歳~24 歳の男女)がその理由として挙げた(複数回答)もので一番多かったのは「面倒だったから」(29.4%)であり、次いで「選挙にあまり関心がなかったから」(26.4%)であった。面倒だから投票に行かないのは、そもそも関心がないということだろうから若年層の投票率の低さの主因として「無関心」が挙げられよう(※2)。
筆者は、「無関心」というより、そもそも選挙が自分とは「無関係」だと若年層が感じていると推測する。
日本の選挙区は地理的に区分される。地域社会の結びつきが強固であり、そこに住む人々の利害がある程度一致していた頃は、地域の利益が住民の利益に直結することが多く、その利益を守る政治家を選ぶことの重要性は比較的明確だったのではないだろうか。しかし、以前と比較して地域社会の結びつきや利害の一致性は薄れており、この傾向は若年層ほど顕著だろう。
これに加えて、高齢化が進んだことで「シルバー民主主義」の傾向が強まった。立候補者は、その地域(選挙区)の多数派への訴求を重視せざるを得ない。結果として選挙の争点が、多数派である高齢者の関心事となる可能性が高い。
つまり、若年層にとっては、地域(選挙区)の代表としての政治家を選ぶことのメリットや重要性を想像できないし、もし立候補者の主張を聞いたとしても自分とは(近い将来においては)関係の薄い事柄で各立候補者が争っているように思えるのである。
ならば、選挙区を地理ではなく年代別に分けてしまえばいいというアイデアもあるだろう。実際に、一部の経済学者は年代別選挙区制の具体的なアイデアを示している。しかし、年代別の選挙区も地理的な選挙区と同様に誰かの無関心を生む区分けになるかもしれないことには留意すべきだ。国民の属性は居住地や年齢だけではなく、性別や職業など様々である。問題の本質は、こういった属性の構成比やその性質の急速な変化に対し、選挙制度が追い付いていないことだと考えられる。現在の選挙制度が本当に民意を反映する仕組みになっているかどうかを再考することが必要ではないだろうか。

(※1)公益財団法人明るい選挙推進協会「新有権者等若年層の参院選投票日後の意識調査」(平成28年7月)
(※2)同調査によれば、3番目の理由として、「現在の居住地で投票ができなかったから」(22.8%)が挙げられており、住民票の住所とは異なる場所に住む大学生などが投票できなかったと推測される。
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