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「持株会社化セミナー」を終えて ~持株会社化とステークホルダーとの関係~

2017年08月09日

経営コンサルティング部 主任コンサルタント 大川 穣

去る7月31日、上場企業の経営企画ご担当者様をお招きし、「持株会社化セミナー ~成長戦略のための持株会社化~」を開催した。

本セミナーでは、持株会社体制への移行を検討するにあたり、「持株会社体制に移行する目的にはどのようなものがあるのか」、「実務ではどのようにして持株会社体制への移行の検討を進めていくのか」、この2点にフォーカスし、お話しさせていただいた。

さて、ここで本セミナーの中でご紹介した持株会社体制へ移行する主な目的(期待される効果)について挙げてみることとしよう。

  • グループ最適視点での戦略立案・意思決定
  • 事業買収や売却等、M&Aの推進
  • 新規事業への進出
  • 責任単位の明確化
  • 意思決定の迅速化
  • 次世代経営人材の育成
  • 多様な人事戦略への対応

他社の事例等を確認すると、多くの目的は上記の内容に集約される。いずれも企業経営の現場にいる方であれば、一度は聞いたことのある内容ばかりだ。
筆者は、これらの目的について、検討される会社にとっては各社各様の戦略があるのだから、それぞれの会社の経営戦略と整合を図ることが必要と考えている。そのうえで、目的の達成に向けた具体的な実行策が浮かび上がるレベルまで深掘りする。
持株会社化は、もともと一つであった会社組織を複数の会社に分ける再編行為。一足飛びに検討を進めてしまえば、成長の妨げとなってしまう。再編行為がどこに波及し、どのステークホルダーに関係する論点となり、どのような説明が求められるのか、検討を進めていく視点として大切にしたい。

例えば、トップラインに関わる論点であれば、ステークホルダーは「顧客」である。ただし、企業は顧客重視の立場をとるのが自然であるので、取引先等、他のステークホルダーとのバランスを図りたい。
働き方に関わる論点では、「従業員」には理解と協力が得られるよう丁寧な説明が必要である。融資等を受けており、持株会社化により持株会社とグループ各社の収支の構造に変化が起きる場合には、事前に「金融機関」との調整も行いたい。このほか、事業運営を滞りなく続けるには、「諸官庁等」との関係も確認する。最終的には一定数の「株主」からの同意を得ることが求められる。

落としどころが見えた中で議論が進められ、結論ありきで掲げられた目的では、内輪の論理を優先したとステークホルダーに捉えられかねない。具体的な検討に入った段階で、社内から「なぜ持株会社に移行するのか」といった消極的な声が聞かれるようなことは最も避けたいところである。
せっかく持株会社という組織体制を選択するのであるから、あらゆるステークホルダーから信頼を得て、グループの変革に挑戦していただきたい。

弊社ではこれまで実務の現場で様々な実績を重ねてきた。その経験を少しでも多くの企業の皆様と共有するため、今回のセミナーを契機とし、これからもクライアントのグループ価値向上の一翼を担っていきたい。

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大川 穣

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