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マクロン大統領とメルケル首相の応援合戦

2017年05月18日

経済調査部 経済調査部長 山崎 加津子

5月14日に史上最年少の39歳でフランス大統領に就任したマクロン大統領は、翌15日にドイツを訪問し、メルケル首相と会談した。EU(欧州連合)の統合推進を訴えて選挙戦を戦ってきたマクロン大統領にとって、最初の外国訪問先にドイツを選び、両国がEUの活性化で協力するとアピールすることは大きな意義がある。一方で、メルケル首相にとっても、マクロン大統領と良好な関係を構築することの重要性は決して小さくない。

メルケル首相は「ドイツの持続的な発展には欧州の発展が必要で、そのためには強いフランスが不可欠」とコメントし、ドイツ自身が「1強」であることを望んではおらず、フランスと協力してEU強化を図ることを強調した。ドイツにとってEUは経済的にはもちろんのこと、外交・安全保障面でも重要な枠組みである。ところがそのEUを否定する声が両国の国民の間で台頭してきている。特にフランスでは、大統領選挙の第1回投票でEU離脱を掲げたルペン候補とメランション候補の得票率の合計は4割を超えた。さらに、2大政党の一翼を担う共和党が擁立したフィヨン候補もEUに懐疑的な見解を示していた。

マクロン大統領とメルケル首相の初めての会談では、EUの最優先課題として難民対策、通商政策、失業対策が挙げられた。また、今後のEUのあり方を協議し、必要な改革に関する行動計画表を独仏で作成することで合意がなされた。なお、マクロン大統領は選挙戦においてユーロ圏の共通予算の設置やユーロボンド(ユーロ圏の共通債券)の導入に言及してきたが、これらは財政規律を非常に重視するドイツで拒否反応の強い政策である。マクロン大統領はベルリンでの記者会見で、ユーロ圏加盟各国の過去の債務の返済をユーロ圏全体で負担することは無責任としてユーロボンドの導入を否定する一方、共通の財源調達を活用した投資促進の枠組み作りに意欲を示した。

このように、良好な独仏関係と、両国が一致してEUを活性化する方針が表明されたわけだが、それを実現させるためにはマクロン大統領もメルケル首相もまずは目前の選挙で勝利する必要がある。今回の独仏首脳会談は、そのための応援合戦という意味合いも強かったと考えられる。

マクロン大統領がその政策を遂行するための強い政策基盤を得られるかどうかは、6月の国民議会(下院)選挙で自身の率いる「共和国前進」がどこまで議席を伸ばせるかにかかっている。同党は新しく設立されたばかりで現有議席は1議席もなく、果たして過半数の議席を獲得できるか注目される。過半数の議席を獲得できなくても第1党となれば、他の政党との連立政権の主導権を握ることができる。マクロン大統領は議会選挙までの暫定首相に共和党のフィリップ氏を指名したが、これは中道右派を取り込むための布石と考えられる。

一方、メルケル首相が続投するためには、9月のドイツ連邦議会(下院)選挙で所属するCDU(キリスト教民主同盟)/CSU(キリスト教社会同盟)が第1党になり、連立政権樹立の主導権を握ることが必要となる。今年に入って行われた3つの州議会選挙でいずれもCDUが勝利したことはメルケル首相続投に向けて幸先の良いスタートとなっている。

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