AIならトランプを選んだか?
2017年04月06日
人間は時に非合理的な行動をする。昨年のBrexitやトランプ政権誕生も、人々の非合理的な行動の結果とみる向きも多いのではないか(合理的な基準の置き方にもよるが)。とくに市場の動きを予想しようとする投資家や市場関係者にとって、そうした予測不能な行動は厄介なことだ。また、伝統的なマクロ経済政策が思ったような成果を上げない原因ともなり得る。
では仮に近年流行りのAIだったら、そのような非合理的な選択はしないだろうか、と考えてしまう。もちろん現状のAIは、人間がゴールを設定するわけだから、経済合理性を追求するゴールを設定すればそうなるだろうし、人々の現状の不満を目先和らげるゴールを設定すれば、そういう答えを導き出すだろう。結局はゴールを設定する人間の考え次第のところがある。もし、AIが自らゴールを設定するような時代がくれば、より経済合理性を指向するかもしれないが、逆に、トランプ大統領の方が将来の経済成長が見込めるという判断を下したかもしれないと思うと、人間にとっては、さらに予測不能な判断が出てくる気もしてしまう。
ところで、我々金融関係者が非合理的と思わずにいられない人々の行動として、日本の家計の資産選択がある。どのような経済環境になろうが預貯金を積み上げ続ける家計の行動は、どうみても経済合理性に適っていない、と思えるわけだ。
そうした家計の資産選択を支援するためのAIツールとして「ロボアドバイザー」が登場している。いくつかの質問に答えることでその人の貯蓄目標やリスク許容度などを推し量り、最適な選択を提案するものである。しかしそれは、あくまで人々のこれまでの行動パターンを是認するものであって、経済合理性に適う行動変化を引き出すものとは限らない。しかし、熟練した人間のフィナンシャルアドバイザーなら、それができるだろう。紋切型の質問に対する反応だけでなく、隠れたニーズや、深層心理まで掴み取って、場合によっては大胆な提案を出すこともあるに違いない。金融機関はコスト削減ツールとしてAIを活用しつつ、社員のアドバイス能力の向上に、もっと力を入れる必要がある。
もとよりAIは万能ではなく、AIをコントロールする人間の力を高めなければ、期待したような結果を生まないことを、あらためて心に留める必要がありそうだ。
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調査本部
常務執行役員 調査本部 副本部長 保志 泰
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