サマリー
◆インド準備銀行は、2025年度のインドの実質GDP成長率見通しを前年度比+6.8%と前回(8月、同+6.5%)から上方修正した。しかし、2026年度の実質GDP成長率は、外需悪化の影響で2025年度を下回る可能性が高い。インド政府は、悪化する外需を埋め合わせするような内需の力強さを維持するため、所得減税と物品・サービス税(GST)の税率引き下げという2つの景気刺激策を講じた。本稿では、これらの景気刺激策がインドの消費や投資に与える影響についてまとめる。
◆2024年度以降、インドの消費は、地方(農村)に比べて都市部の回復が遅れている。都市部で男性を中心に雇用の回復が遅れていることが、都市部中間層における消費のボトルネックとなっているようだ。これに対し、インド政府は、2025年度予算の中で所得減税を提示したが、現時点でその効果は限定的だ。
◆消費喚起の次の一手として打ち出されたのがGST税率の引き下げである。この効果は、2025年9月の鉱工業生産、同10月の自動車販売台数にすでに表れている。ファストフードなどのサービス部門でも、10-12月期以降の客足に好影響との声が出ている。また、GST改正は、「土地」「労働」と並び「インドリスク」とされてきた「税制」に関するリスク低減にもつながった。今後、インドにおける投資環境の改善を促すだろう。
◆今後重要となるのは、GST改正による消費の回復が、企業投資を誘発するのかという点だろう。これについては、インドの国立応用経済研究所が実施しているビジネス期待調査や、銀行のセクター別貸出残高の動向を注視したい。
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