1. トップ
  2. レポート・コラム
  3. コラム
  4. 「争続」ではなく、「相続」の法が変わるかも?

「争続」ではなく、「相続」の法が変わるかも?

2016年06月21日

本日(2016年6月21日)、法制審議会民法(相続関係)部会第13回会議が開催される予定である。5月までに開催された第11回会議、第12回会議の公表済みの資料を見ると、それぞれ、「中間試案の取りまとめに向けた議論のためのたたき台」「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案のたたき台」が提示され、議論されている。

これらは、民法の相続にかかる部分(以下、「相続法」)の改正に向けた議論の途中経過として、「中間試案」をまとめ、意見を広く求めようとするための作業であると思われる。

現在の相続法では、a)遺言がない場合の相続人(法定相続人)やその相続分(法定相続分)、b)法定相続分があるのに遺言により相続分がゼロとなった場合等にも一定の相続分を確保しようとした遺留分、c)遺言の方式など相続の基本的なことが定められている。

第11回会議、第12回会議の資料を見ると、あくまで「中間試案」(のたたき台)なので、案がいくつか並ぶようなところがあったり、多くの方の意見・判断を聞こうとするところがあったりする。実際、どのようなことが検討されているかと言えば、例えば次の通りである。

  1. 配偶者の居住権を保護するための方策
    例えば夫が死亡した場合、残された妻が、それまで居住してきた建物に引き続き居住することをよりしやすくすることはできないか、検討されている。大枠、(遺産分割までの)短期の特別な居住権と長期の特別な居住権に分けて議論が進められている。
  2. 配偶者の相続分の見直し
    被相続人の財産の形成に対する配偶者の貢献を遺産分割に反映できないか、検討が行われている。ごく簡単に言うと、婚姻後の増加分とそうでないものを分けた上でそれぞれに対する分割の割合を変える方法と、婚姻期間が長い場合には法定相続分を増加しうるようにする方法が検討されている。
  3. 自筆証書遺言の方式緩和
    財産の特定に関する事項(不動産の所在地など)については、自書でなくともよいとすることが検討されている。
  4. 自筆証書遺言の保管制度の創設
    自筆証書遺言を作成した者が一定の公的機関にその原本の保管を委ねることができる制度を創設できないか、検討している。
  5. 遺留分制度に関する見直し
    遺留分の算定方法の見直しや、遺留分を現実に得ようとして行う遺留分減殺請求に関する法的性質の見直しなどが検討されている。
  6. 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策
    相続人以外の者の貢献を考慮するとした際、請求権者の範囲を限定する考え方や、貢献の対象となる行為を無償の労務の提供に限定する考え方が検討されている。

こう見ていくと、法律がより複雑になるような印象も受ける。しかしきめ細かく対応するためには、致し方がない面もあるのだろう。

ところで、中間試案の公表が見えてくると改正はいつかという話になるが、時期はよくわからない。早ければ、来年(2017年)の通常国会への法案提出もありうるという言い方になるが、利害関係が複雑なのでなかなか難しいとも思われる。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加