コーポレートガバナンス・コードあなたの会社の『基本原則2』の本気度は?
2016年04月13日
企業の稼ぐ力を高めることを目的として、コーポレートガバナンス・コードが起動を始めた。それは5つの基本原則で構成されている。とりわけ企業価値向上の実現という視点からもっとも重要な位置づけにあるのが『基本原則2』である。『基本原則2』は5つの原則(本稿では補充原則は割愛する)から構成されており、その内容を要約すると以下のとおりである。
原則2-1 中長期的な企業価値向上の基礎となる経営理念の策定
原則2-2 会社の行動準則の策定・実践
原則2-3 社会・環境をはじめとするサステナビリティーを巡る課題
原則2-4 女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保
原則2-5 内部通報
すなわち企業の存在価値の基礎となる企業理念を定め、その実現へ向けた従業員の日々の活動のよりどころとなる行動基準を策定する。そしてそれを確実に実行することに他ならない。企業価値向上へ向けて従業員の行動を束ね、成果を出し、かつモニタリングに耐えうる確実な仕組みが問われているのである。従って行動基準を読んだ従業員が行動したくなる動機づけのフレーズが不可欠である。株主との対話が充実しても、日々の従業員の行動が伴わなければ企業価値の向上にはつながらない。あなたの会社の『基本原則2』の本気度が問われるところだ。
多くの従業員は日々同じ業務を繰り返している。創意工夫がなければ単調でかつ退屈になりがちだ。そこに緊張感や変化を根付かせることは言葉でいうほどやさしくはない。従業員が日々の業務を振り返った時に、「今日はどれほどの価値を生み出したであろうか、明日に向けてさらに工夫すべきことは何であろうか」ということを真摯に自考する基準があれば理想であろう。顧客満足度向上と言いつつ、実は自分のソロバンが先に来ていないだろうか?例えば店舗の販売員であれば『自分の売上よりも顧客が楽しんでいる姿を優先してイメージし、接客しているか』というフレーズはいかがだろう。
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- 執筆者紹介
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マネジメントコンサルティング部
主任コンサルタント 柳澤 大貴
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