2025年12月26日
サマリー
◆今後1年間に家計金融資産が生み出し得る運用リターン(含み益・配当など)の試算結果を日米で比較すると、日本は年間40.9兆円であり、米国(年間1,091.4兆円、1ドル=150円で換算)との差は約27倍となっている。この背景には、日本の株式などの収益率が米国対比で低いことや、日本の家計金融資産に占めるローリターンの現預金比率が依然として高いことが挙げられる。
◆だが、日本の企業経営の改革などが進むことで株式などの資産の収益率が米国並みに高まり、日本の家計金融資産に占めるリスク性資産比率が40%まで上昇した場合、現在の家計金融資産の総額を前提とした運用リターンは、40.9兆円から92.4兆円まで拡大すると試算される。まさに資産所得倍増である。
◆大和総研では、2045年度にかけて家計金融資産の有価証券比率が約40%まで上昇し、名目家計金融資産が総額4,746兆円となると試算している。この資産残高を基にすれば、2045年度の運用リターンは今後のインフレ分を除いた実質ベースで115.8兆円と推計される(名目ベースでは172.0兆円)。
◆家計の金融資産所得や金融資産残高の増加は、将来にわたる個人消費を活性化させるだろう。現在、インフレ進行によって実質的な資産価値が目減りしやすい状況にある中、金融リテラシー向上などを通じたリスク性資産比率の引き上げや、コーポレートガバナンス改革をはじめとした会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のための取組みによる収益率向上が期待される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
議決権行使助言業者の新方針:2026年以降ジェンダーや長期在任の基準厳格化
ISSとグラス・ルイスが2026年以降に適用開始となる議決権行使助言の新方針を公表した
2025年12月26日
-
トランプ大統領「議決権行使助言業者への規制強化」
議決権行使助言業者規制に関する大統領令を発出
2025年12月16日
-
議決権行使助言業者への依拠は共同保有認定
米国SECのウエダ委員が議決権行使助言業者規制の方向性を明らかに
2025年12月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

