家計金融資産の運用リターンの日米比較

運用リターンの日米格差は現在27倍も、「貯蓄から資産形成へ」のさらなる進展で格差縮小の可能性

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サマリー

◆今後1年間に家計金融資産が生み出し得る運用リターン(含み益・配当など)の試算結果を日米で比較すると、日本は年間40.9兆円であり、米国(年間1,091.4兆円、1ドル=150円で換算)との差は約27倍となっている。この背景には、日本の株式などの収益率が米国対比で低いことや、日本の家計金融資産に占めるローリターンの現預金比率が依然として高いことが挙げられる。

◆だが、日本の企業経営の改革などが進むことで株式などの資産の収益率が米国並みに高まり、日本の家計金融資産に占めるリスク性資産比率が40%まで上昇した場合、現在の家計金融資産の総額を前提とした運用リターンは、40.9兆円から92.4兆円まで拡大すると試算される。まさに資産所得倍増である。

◆大和総研では、2045年度にかけて家計金融資産の有価証券比率が約40%まで上昇し、名目家計金融資産が総額4,746兆円となると試算している。この資産残高を基にすれば、2045年度の運用リターンは今後のインフレ分を除いた実質ベースで115.8兆円と推計される(名目ベースでは172.0兆円)。

◆家計の金融資産所得や金融資産残高の増加は、将来にわたる個人消費を活性化させるだろう。現在、インフレ進行によって実質的な資産価値が目減りしやすい状況にある中、金融リテラシー向上などを通じたリスク性資産比率の引き上げや、コーポレートガバナンス改革をはじめとした会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のための取組みによる収益率向上が期待される。

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