高齢化はデフレ要因か、インフレ要因か
2015年05月21日
一般的に日本では高齢化の加速が経済成長の見通しを押下げ、デフレ要因として社会に影響を与えるという見方が多いようだ。高齢化が進む中でデフレからなかなか脱却できなかった過去の経験的な事実がその根底にあるのだろう。
高齢者が増えると経済の活力が失われ、デフレ圧力が高まるというのは感覚的には理解できる。しかし、本当にそうだろうか。この問題について国際決済銀行が2月に公表した論文は、通説とは異なる興味深い結果を提示している。
日本を含む先進22カ国の1955-2010年のパネルデータを用いて、年齢階級別人口と物価との関係を様々な方法で分析した結果、19歳までの若年人口比率と65歳以上の高齢人口比率の上昇は高いインフレ率と、20~64歳の生産年齢人口比率の上昇は低いインフレ率と、それぞれ安定した関係があるという。
この結論は日本には当てはまらず、どうやら日本のデフレには他の理由がありそうだ。ただ、論文が留意すべきとしているのが、高齢人口比率と物価との関係が、80歳以上の年齢階層で不安定となることである。そのため、社会が単なる高齢化から超高齢化へ向かう過程で、人口動態が物価にどのような影響をもたらすかについては、さらに実証的な研究が必要としている。
今後、先進国だけでなく中国などの新興国でも高齢化が加速する。この論文の結論が示す通りであれば、高齢化する世界経済でやがてインフレ圧力が強まることになるのだが、果たしてどうなるだろうか。
BIS Working Papers No 485, Can demography affect inflation and monetary policy? by Mikael Juselius and Előd Takáts
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