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消費税率の引き上げがフィリップス曲線に与える3つの影響

2014年08月25日

経済調査部 エコノミスト 久後 翔太郎

消費税率が引き上げられて4ヶ月が経過した。消費税率引き上げの影響は今後の政策運営に大きな影響を与えるため、注視が必要である。今回のコラムでは金融政策運営に影響を与える物価について、フィリップス曲線(横軸:GDPギャップ、縦軸:インフレ率)の形状変化を中心に消費税率引き上げの影響を検証したい。具体的な影響としては、①期待インフレ率の上昇による上方シフト、②実質所得減少によるフィリップス曲線上の移動、③傾きのスティープ化という3つが考えられる。

消費税率の引き上げは物価水準を切り上げることから、導入後1年間のインフレ率には上方圧力がかかる。このため、消費税率の引き上げが実施されるまでの期間については、期待インフレ率に上昇圧力がかかることになる。このことはフィリップス曲線の切片を押し上げることで、フィリップス曲線を上方シフトさせる要因となる。一方、物価水準の上昇は実質所得の減少を通じて、個人消費の水準を切り下げる。これはGDPギャップに対してマイナスの圧力を生むことになるため、フィリップス曲線の形状には変化を与えないものの、物価に対してマイナス圧力となる。フィリップス曲線の傾きは、企業の価格改定の頻度や1度当たりの改定額の大きさに依存する。2014年4月、及び2015年10月に予定されている消費税率の引き上げは企業にとっては半強制的に価格を変更させられる機会となるため、企業の価格改定頻度は増加する。よって、フィリップス曲線をスティープ化させる要因となる。

以上の整理を踏まえたうえで、消費税率の引き上げがフィリップス曲線の変化を通じて、先行きの物価に対してどのような影響を与えるか考察しよう。「①期待インフレ率の上昇」によるフィリップス曲線の上方シフトの効果は徐々にはく落することが見込まれる。加えて、「②実質所得減少」の効果もすでに顕在化しており、物価に対してマイナス圧力がかかっている。さらに「③フィリップス曲線がスティープ化」しているなら、足下でGDPギャップのマイナス幅拡大による物価の下押しは一層大きくなっている可能性がある。

しかし先行きについては、個人消費が反動減から持ち直しに転じることで、日本経済は4-6月期を底に回復傾向へ復するとみられる。スティープ化したフィリップス曲線を想定すると、GDPギャップの改善度合いに比べて従来よりも物価が上振れする状況となっても不思議ではないだろう。ただし、フィリップス曲線のスティープ化は景気後退時に物価の下落幅が大きくなる可能性を同時に秘めている点にも注意が必要だろう。

期待インフレ率を考慮したフィリップス曲線

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