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"若者の仕事離れ"はどこまでいくのか

2013年06月11日

政策調査部 研究員 佐川 あぐり

“若者の○○離れ”という言葉を耳にすることが多い。例えば、○○に入る言葉は、車、たばこ、テレビ、などであり、うんうんとうなずけるが、その中には「仕事」も入るそうで、“若者の仕事離れ”である。これは、“若者が働かない”とも解釈できて、ニートの存在にもつながっている。若者はこのまま仕事から離れていってしまうのだろうか。

世代別に完全失業率をみると、1990年代以降、他の世代と比べて15~24歳の失業率の上昇が際立っていることがわかる。失業率(完全失業率)とは、15歳以上の全労働力人口(※1)の中で、仕事に就くために求職活動中である人、つまり、働きたいけど働き口のない人が何パーセントいるのか、という指標である。“若者の仕事離れ”は“若者は働き口がないから働かない”とも解釈できるようだ。

背景の一つには、企業が新卒採用を抑制していることがあるだろう。特に、リーマン・ショックで企業業績が落ち込んだ2009年以降は、新卒採用が大きく減少しているようだ。さらに、今年4月には「高年齢者雇用安定法」が改正され、希望者に対して、段階的に65歳までの雇用延長が義務化されることになった。若者の雇用環境は、ますます明るくないといえるだろう。

しかし、若者の雇用対策については、政府も本格的に取り組むとみられる。先日、明らかになった成長戦略の素案では、労働移動支援助成金を拡充して、転職しやすい環境作りを目指すなどの対策が盛り込まれている。今後、国からのバックアップにより、若者の雇用拡大につながるかどうか、期待されるところだろう。

一方で、若者の意識改革が必要との指摘もある。雇用環境が経済環境によって大きく左右されることは自明の理である。若者たちは自ら、技能や知識の蓄積、スキル向上に前向きに取り組むことが重要であろう。

「あなたにとって仕事とは?働くということは?」という問いに対する回答は、千差万別であろう。しかし、働くことの対価としてお金を得る、お金は生きていくために必要なもの、というのは大方の共通した認識だと思う。働かない若者も、働きたいけど働き口のない若者も、もっと貪欲に将来に希望を持ってほしい、と切に思う。若者のやる気向上こそ、日本経済の大きな活力となるはずである。

年齢階級別完全失業率

(出所)総務省統計局「労働力調査」より大和総研作成


(※1)労働力人口は、就業者数(働いている人)と完全失業者数(働く意思のある人)の合計。総務省統計局「労働力調査の解説(平成23年6月版)」第3章「基本的諸概念と用語」を参照。

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