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大株主になりつつある公的機関

2013年04月15日

金融調査部 主任研究員 太田 珠美

日本銀行(以下、日銀)は2013年4月の金融政策決定会合においてETFの買入れ拡大を決定した。保有残高を年間約1兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行うことで、2012年末には約1.5兆円であった保有残高は、2014年末までに約3.5兆円になる見込みである。

金融政策とは別に、日銀は過去に買入れた国内株式を約1.2兆円(2012年9月末簿価)保有している(図表参照)。金融政策の一環として行われるETFの 買入れとは異なり、株式の買入れは金融システムの安定化のために行われたものである。銀行経営において“保有株式の価格変動リスク”が大きな不安定要因となってしまったため、日銀が銀行から保有株式の買入れを行ったのである。買入れは過去2回(2002年11月~2004年9月末と2009年2月~2010年4月)実施されている。1回目に買入れた株式の一部は2007年10月から市場で売却を行っていたが、リーマン・ショックなどによる株式市場の混乱を受け、2008年10月に売却を凍結している。2回目の買入れ分と合わせ、2014年3月末まで売却しない予定である(※1)

日銀以外にも株式を保有している公的機関がある。銀行等保有株式取得機構と預金保険機構であり、両機関と日銀の株式・ETF(以下、株式関連資産)の保有残高の合計は、現在4~5兆円程度とみられる。今後日銀がETFの買入れを進めることを考えれば、公的機関が保有する株式関連資産は今後6~7兆円程度に増 加する可能性がある。金額は株式市場の時価総額比1~2%程度とはいえ、運用方針の変更が株式相場にも大きな影響を与えるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の国内株式運用資産額が約14兆円(2012年12月末時点)であることを考えれば、6~7兆円の規模が小さいとは言えないだろう。

日銀は早ければ2014年4月以降、株式の市場売却を開始する可能性がある。日銀以外の両機関は時期未定としているものの、売却凍結を開始した時期がほぼ同時であったことを考えれば、売却開始のタイミングもほぼ同時となる可能性は高い。株式だけであれば約3兆円であり、かつある程度の期間をかけて売却していくものの、株式関係者から需給悪化要因と認識され、株式相場に影響を与える可能性もある。

一部には今後の金融政策において“ETF買入れには増額余地あり”とする声もある。ETFの取得(処分)は一次的には受益証券の取引であるものの、流動性の変化を通じて間接的に株式相場に影響を与えうる2)。現状の公的機関の株式関連資産の保有額をみれば、単純な増額は避けた方が望ましい。一方で、2014年4月以降に株式処分を開始するのであれば、その金額に応じた増額は“日銀のバランスシート(資産側)の維持”という観点からは検討の余地があるかもしれない。

公的機関の株式保有状況
(注)日本銀行は2012年9月末時点、銀行等保有株式取得機構および預金保険機構は2012年3月末の数値。銀行等保有株式取得機構の残高には優先株式・優先出資証券・ETF・J-REITを含む。
(出所)日本銀行、銀行等保有株式取得機構、預金保険機構公表資料より大和総研作成

(※1)2回目の買入れ終了当初は2012年4月からの売却開始を予定していたが、市場環境を鑑み、2012年1月の日銀政策委員会において2年間の売却凍結が決定した。発行会社から自己株式の取得の申し入れがあった場合など、市場売却以外の株式処分は一部行われている。
(※2)ETFの仕組みとしては、まず、証券会社や機関投資家など(以下、指定参加者)が市場で買い付けた株式を運用会社に拠出し、それをもとに運用会社 がETFを設定する。指定参加者はETFの持分を示す受益証券を運用会社から受け取る。投資家が取引所で売買しているETFは、指定参加者が受け取った受益証券を上場させたものである。なお、リンク債型のETFは指標や価格などに連動するリンク債に投資するETFで、株式などの現物拠出は行われていない。

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太田 珠美

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金融調査部
主任研究員 太田 珠美