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20代は「ワーク・ワーク・バランス」を重視しよう

2013年03月18日

金融調査部 主任研究員 是枝 俊悟

やわらかな風が吹き、卒業式のシーズンを迎えている。卒業を控えた大学生には、4月から始まる社会人生活に胸を膨らませている人も多いだろう。

筆者が社会人となった5年前を思い起こすと、大和証券グループの新入社員オリエンテーションでの社長(当時)の言葉が強く印象に残っている。

社長は、グループとして重視している「ワーク・ライフ・バランス」について力説し、「ワークハード、ライフハード」と熱く語りかけてくれた。当社グループでは19時(午後7時)前退社を推進している。19時前に仕事を終えられないようでは、大学の同窓会に行くこともできない。いろんな仲間と飲みに行って人脈を広げていくことができれば、社会人として成長できる。それは仕事の成果にも必ず返ってくる。仕事でも、私生活でも懸命に生きろ…といった趣旨の内容であった。

あれから5年間を振り返ってみると、19時前に退社できたことが、確かに自分にとっての大きな成長に繋がっていた。

入社から3年は、就業後の自主学習に特に力を入れた。リサーチャーという仕事は、知識量が武器になる。証券アナリスト、ファイナンシャル・プランナー、社会保険労務士などの資格試験に次々と挑戦し、仕入れた知識をレポートに活用していくと、様々なメディアに取り上げて頂いたり、政府関係者等に関心を持って頂けたりするなど成果が上がるようになってきた。

4年目からは、人とのつながりにも重点を置くようにしてきた。終業後や休日に、高校や大学時代の友人、仕事の関係者などと交流を広げていき、様々な人と話をする中で、色々な「気づき」を手に入れられるようになってきた。その中の1つ「消費税増税をどうやって家計は乗り越えるか」というディスカッションを経て、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子氏と共著で『大増税時代を生き抜く共働きラクラク家計術』(朝日新聞出版、2012年)を出版するに至った。

来年度に、筆者は28歳になる。同期入社の社員には結婚した人も増えてきており、既に子育て生活に入った人もいる。子育てが始まると、いよいよ、本来的な意味での「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の調和)が重視される一方で、仕事と家庭以外での時間を確保することが難しくなってくる。終業後や休日の時間をまとまった勉強時間にしたり、いつでも気軽に飲み会に出かけたりできる期間は意外と短いのである。

筆者は、「ワーク・ライフ・バランス」に代えて、20代は「ワーク・ワーク・バランス」を重視することを提唱したい。これは、私生活を犠牲にして限界まで働くという意味ではなく、会社から与えられた仕事をきちんとこなす「ワーク」と、主体的に課題を設定し責任を持ってキャリアを築き上げていく「ワーク」のバランスを取るという意味である。

新入社員や就職活動中の学生が、「ワーク・ライフ・バランスを重視したい」と口にすると、仕事のことを本気で考えていない、成長する気概がない、使いづらい、などと否定的に捉えられることも多いようである(※1)

ならば、「ワーク・ワーク・バランスを重視したい」と言ってみてはどうだろう。遅くまで残業はしたくないが、これは決して仕事をしたくないからではなく、就業後や休日の時間に仕事以外のフィールドで動いて成長することで、より良い仕事をしたいからなのだ、と。

会社は、まだ独身だから遅くまで働いても(働かせても)大丈夫だと考えるのではなく、独身だからこそ、早く帰れば時間を自由に活かすことができ、社員の成長を促進することができると考えてみてはどうだろうか。

20代を「ワーク・ワーク・バランス」で駆け抜けて大きく成長して、家庭を持ったあとは効率的に仕事をして「ワーク・ライフ・バランス」を実現する…というロールモデルができれば、若者自身の成長、会社の成長、さらには日本全体での経済成長も実現できるようになるのではないだろうか。

(※1)雑誌等による人事担当者へのインタビューでは「ワーク・ライフ・バランス」を重視する新入社員や就職活動中の学生などについて否定的な考え方を示すものも多い。

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是枝 俊悟

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