新政権の課題
2012年12月20日
今年は、わが国を含め主要国(アメリカ、中国、ロシア、フランス)の政権選挙や政権交代が行われたが、各国の新政権の最大の課題は、リーマン・ショック後の長引く不況対策などの経済問題であろう。
アメリカは、目先、「財政の崖」の解決を迫られているが、「財政の崖」を解決したとしても、オバマ政権の2期目の財政政策は基本的に財政支出の削減と増税基調となり、民需の回復に頼らざるをえない。
金融機関が相対的に安全性を保っている日本、アメリカと異なり、ヨーロッパはリーマン・ショック後、思い切った銀行への公的資金投入を怠ったため、金融不安が長期化する日本型の「失われた10年」に陥りそうである。また、ユーロ危機により仏独枢軸というフィクションが崩れ、ヨーロッパでのドイツの1人勝ちが明確になり、ユーロ諸国は厳格なドイツの財政規律を受け入れざるをえなくなっている。
新興国も、「BRICsの黄昏」が指摘され、2000年代の新興国ブームは終わりつつある。輸出先のアメリカ、ヨーロッパの景気の低迷により、外需依存度の高い中国経済の成長率は低下し、中国の高成長を背景とした資源高の恩恵を受けてきたブラジル、ロシア経済も、景気不振が始まっている。
日米欧とも財政の出動余地は乏しく、金融政策もゼロ金利下ではその実効性は限界にきている。日本は、輸出拡大、外需依存による景気回復は期待しにくい。徒な財政出動には金融市場の信認が問われかねない状況が迫りつつある中で、わが国の新政権は、歴代の内閣が怠ってきた構造改革、国内需要拡大策、少子高齢化対策に早急に取り組む必要があるだろう。
今後も生産年齢人口の増加が続くアメリカ(2012年1億9,700万人→2060年2億3,900万人、アメリカ国勢調査局)と異なり、生産年齢人口の大幅な減少により潜在成長率が低下していくわが国(2012年8,017万人→2060年4,418万人、国立社会保障・人口問題研究所)は、もうこれ以上、痛みを伴う改革を避けて通ることはできない。
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