冬の東京

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2012年02月13日

  • 奥谷 貴彦
冬の東京はそれほど寒くない。それが最近ニューヨークのマンハッタンから東京に引っ越してきたときの印象であった。

もう一つ印象に残ったのは、東京都心部が長い間クリスマス一色であること。ニューヨークでは、感謝祭(サンクス・ギビング)が終わらないとクリスマス・ムード一色にはならない。またニューヨークでのクリスマスはどちらかというと家族が集まってご馳走を食べて過ごす。日本のお正月のようだ。

東京には正月があるのが嬉しい。ニューヨークの証券業界が休業する祝日の日数は日本の証券業界よりも1週間程度少ない。そのため、正月やゴールデンウィークなどの大型連休もない。ウォール街で働くニューヨーカーはよく働くという印象だ。年末年始には祝日である12月25日のクリスマスと元日以外の平日は働くことになる。年末年始はいろいろな意味において、ウォール街で働く日本人が郷愁の念に駆られる時期だ。

冬も終わりに近づいてゆく。バレンタインデーが迫ってきた。日本では女性から男性にチョコレートなどをプレゼントする風習があるが、ニューヨークでは男性から女性にもプレゼントする。そういった風習があるので、ニューヨークオフィスにはバレンタインデーに花束が届く。男性社員が帰宅後にパートナーにプレゼントするためだ。花束以外にもカードやディナー、チョコレートなどをプレゼントする。マンハッタンの雰囲気がいいレストランはバレンタインデーには満席になる。

それでは日本人男性がニューヨークの日本の会社で働いているときはどうするか。東京の義理チョコ文化とニューヨークの男性から女性にも渡す風習を混ぜあわせて、男性から女性に日頃の感謝の意味を込めて義理チョコを渡していた。和洋折衷のバレンタインデーである。

またニューヨークでは感謝祭には友人や家族に「いつもありがとう」と言葉で感謝を伝える。感謝祭がない日本では親しい友人や家族同士で感謝や尊敬の気持ちを伝える機会が少ない。バレンタインデーやホワイトデーに「いつもありがとう」と言葉で伝えてみてはいかがだろうか。震災から3月で1年が経とうとしている。人と人の絆を再認識する良い機会となれば幸いである。

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