官民連携による再生可能エネルギーの普及に期待
2012年01月17日
東日本大震災および東京電力福島第1原発事故を受け、エネルギー政策の見直しが進められている。昨年末までにまとめられた基本戦略をベースにして、今春には、エネルギーミックス(電源のエネルギー別構成)、原子力政策、温暖化対策などに関する選択肢が提示される。その後、これらの選択肢について国民的議論を行い、2012年夏には、2030年から2050年を見据えた「革新的エネルギー・環境戦略」が策定される計画である。
エネルギーミックスについては、資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会で検討する「エネルギー基本計画」で示されることになっている。この調査会では、原子力発電への依存度を2030年には5割にするとした従来の基本計画を白紙から見直している。具体的な構成比は今後の議論によるが、原子力の依存度を下げ、再生可能エネルギーの比率を高めるという原則は既に決まっている。
将来のエネルギー源の担い手が原子力から再生可能エネルギーにシフトしていくと、電力供給システムの一部が集中型から分散型に移行していくことが予想される。火力、水力、原子力などの大規模な発電所と比べて、太陽光、風力、地熱、小水力などの再生可能エネルギーの発電所は一カ所当り発電能力が比較的小さいため、分散的に設置される可能性が高い。送電ロスを抑えるために、地産地消型の電力供給システムの構築も重要な課題となる。
分散型で地産地消型の再生可能エネルギーによる電力供給を拡充するには、地方自治体が重要な役割を担うことになろう。各地域では、各自然エネルギーによる潜在的な発電能力をそれぞれ検証した上で、自らの地域に合った再生可能エネルギーの構成を分析することが重要になる。また、地域経済への波及効果や雇用創出の可能性などを十分に検証することも求められる。
再生可能エネルギーの普及を進めるためには、官民連携による事業運営が有効となろう。それぞれの自然エネルギーに適した用地の選定や地元住民の電力に関する意見の集約などで、公的部門が重要な役割を果たすことができる。将来的に電力料金の回収が見込めるため、プロジェクトファイナンスによる資金調達にも向いている。民間資金を活用すれば、財政に余裕のない地方自治体でも電力供給システムの構築が可能となる。官民連携による再生可能エネルギーの普及に期待したい。
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