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年金の「日本化」

2011年12月22日

木村 浩一

バブル崩壊後の20年間の日本の資本市場は、ほぼ一貫して株価は下落し(日経平均株価1989年末38,915円→2011年11月末8,434円)、金利も10年長期国債流通利回りが8%台から1%台へと低下、超低金利が10年以上続いている。「失われた日本の20年」は、日本の年金基金にとって厳しい運用環境であった。

リーマン・ショック、ヨーロッパのソブリン危機を受けて、アメリカもヨーロッパも、経済、財政が「日本化」しつつある。欧米諸国も、経済危機、金融危機克服のため政策金利はほぼゼロ金利となり、金融政策は使えない。また、財政も政府債務抑制のため長期にわたり緊縮財政が続く見込みで、力強い景気回復は期待できそうになく、低成長、低株価、低金利が長期化しそうである。国内年金運用市場の悪化は、年金負担に苦しむ日本企業の企業体力を蝕んできたが、リーマン・ショック後は、欧米の資本市場も運用市場としては日本市場同様、期待しにくくなるだろう。

日本だけでなく社会の高齢化が進む欧米でも、市場環境の悪化による年金の運用難という「日本化」が始まっていく。年金の運用難は、財政悪化、企業利益の減少を招き、スパイラル的に景気の低迷を長期化させる要因となる。

景気低迷、運用環境の悪化の長期化を前提に、持続可能な年金制度を再構築していく必要があるだろう。信頼できる年金制度でなければ、個人は消費を抑制し貯蓄を増やし、企業も設備投資に及び腰となり、景気低迷を更に加速させていく。世界の年金市場は、確定給付型年金から確定拠出型年金(401(k)など)に移行しつつあるが、401(k)が解決策になるわけではない。2001年からスタートした日本版401(k)は、株安と低金利により加入者の半分以上が元本割れしているとの調査結果もある。日本も欧米諸国も、年金制度のストレス・テストを行い、社会の高齢化だけでなくグローバルな運用難に備えた制度設計の見直しが必要だろう。

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