震災復興に重要となる起業家精神とリスクキャピタル
2011年05月18日
東日本震災から2ヶ月が経過して、国、県、市町村の各レベルで、復興に向けた計画作りがそれぞれ始まっている。がれきの撤去や仮設住宅の建設などの復旧に続いて、社会・経済などに関する中長期的なアクションプランが作成されることになる。
経済的な復興を推進するには、起業家精神(アントレプレナーシップ)の醸成とリスクキャピタルの活用が重要になる。起業家精神は新たに会社を起こす起業家の心構えだけを指す言葉ではない。広義には、独自の才能やアイデアなどを活かし、未知の課題に対してリスクを取って主体的に挑む、という姿勢に相当する。新たな経済発展を持続するには、チャレンジ精神にあふれた起業家の活躍が欠かせない。
起業家の行動を後押しする資金については、株式投資を中心としたリスクキャピタルの供給が欠かせない。返済義務のない公的な補助金は、政府の財政難もあって、拠出される金額が限られる。また、融資については、物的担保や個人保証が原則必要となり、リスクの高い事業に取り組むには向かない場合が多い。株式等のエクイティに対する投資であれば、有限責任のなかで起業家が有望なビジネスに自律的に挑戦できる。投資する側もリスクに見合ったリターンが期待できる。
戦後の復興時には、ソニーや本田技研工業を始めとして、多くの新興企業が経済成長を牽引した。楽天の三木谷浩史社長が阪神・淡路大震災をきっかけに起業したという事例もある。今回の復興に関しても、リスクキャピタルの提供を受けた起業家が自社の事業拡大を通じて、東北地域の経済発展や雇用創出を先導していくことを期待したい。
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