日米の景気と株価

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2011年01月27日

  • 野間口 毅
NYダウは昨年11月にリーマン・ショック前の水準を回復し、年末年始を挟んで上値を切り上げている。その背景として、米国経済がリーマン・ショック前の水準を回復していることが挙げられる。例えば、NYダウと連動性の高い失業保険申請件数(4週移動平均)は既にリーマン・ショック前の水準を下回り始めている。失業保険申請件数の減少で示される雇用の回復は、当然のことながら個人消費の回復をもたらしている。12月の小売売上は、2007年11月に記録した過去最高金額を約3年ぶりに更新した。また、12月の新車販売台数は(買い替え補助金の効果で販売が急増した2009年8月を除けば)リーマン・ショック以降では実質的に最高となった。同じく、12月の鉱工業生産指数はリーマン・ショック以降では最高となった。

米国の雇用は昨年春にいったん回復したが、その後ギリシャ問題をきっかけに再度悪化した。したがって、今年もユーロ危機の連鎖には注意が必要だが、スペインのデフォルトという最悪のケースまで至らなければ、米国の雇用や消費は今後も回復基調を維持し、景気は拡大局面に向かうと考えられる。

今年のNYダウは13000ドルを超える展開と想定する。大統領選前年のNYダウが過去50年下がったことがないという経験則は有名で、その平均上昇率は15.5%である。今年のNYダウも15%上昇すると仮定すれば、13000ドルを超えることになる。

一方、今年の日経平均は12000円~13000円を目指す展開と想定する。日経平均のリーマン・ショック直前の水準は12000円強である。リーマン・ショックから足掛け3年かかることになるが、今年の日経平均はようやくリーマン・ショック前の水準を回復することになろう。

NYダウに比べて、日経平均がリーマン・ショック前の水準を回復する時期が遅れる理由は、景気の回復が遅れているからである。日本の実質輸出指数や鉱工業生産指数の動きを見ると昨年春をピークに腰折れしたことが分かる。その理由はギリシャ問題をきっかけとした米国景気の一時的な悪化及びドル安に加えて、猛暑及びエコカー補助金の反動などである。幸い11月の鉱工業生産指数は僅かながら回復し、同時に発表された12月と1月の生産予測が大幅な伸びとなった。日本経済の現状は踊り場と見られるが、鉱工業生産の回復が事実なら、今年の日本経済は踊り場脱却にむけた動きが期待できよう。

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