Timberland Investment
2010年11月15日
アウトドア派の方、残念ながらTimberland Investmentと言っても、米国ボストンのアウトドア・ブランドTimberland社への投資話ではありません。
Timberland Investment=森林投資とは、日本では余り聞き慣れないものの、米国では350億ドルの残高を擁する代替投資の1つとして確立し、年金等の運用資産としても一定の地位を占めています。例えば、新入社員が入社した際、年金等の掛金で苗木を購入して在職中に育成し、定年退職時に材木として売却し、その代金を退職金等に充てるといった事が考えられます。
これには幾つかのメリットがあるでしょう。資産運用としては、新卒入社から定年まで約40年とすれば、苗木が成木に育ち、材木として売却可能となる期間と丁度同じぐらいです(デュレーションが同じ)し、金融危機等とは無関係に木は育ちます(安定成長=Timber know nothing. They only keep growing.)。また、一般に不動産バブルは山林には及び難い為、用地の高値掴み等の可能性も相対的に低く、不動産取引・保有につきものの租税公課も山林なら低廉です。環境にもメリットがあります。森林投資の普及で森林整備が進めば、温暖化問題解決の一助となるだけでなく、外資による買収進展が伝えられる水資源の保全にもなるでしょう。森林整備には間伐等も必要な為、年金資金の流入が林業振興に資する可能性もあります。
他方、天災や山林火災等による毀損の他、木材市況変動等のリスクもありますが、保険や天候デリバティブの他、市況のある他の建材(H型鋼等)を組み合わせたヘッジ手段が提供されるかも知れません。また、地球全体の人口増加を考えれば潜在的な住宅需要はあるわけですから、森林投資の出口戦略として、NGO等とのBOPビジネス(※1)の展開も一案です。或いは、「現引き」して自分の終の棲家の資材にするのも一興です。尚、米国では専業の業者(Timberland Investment Management Organization=TIMO)が森林投資をサポートしています。
この様にビジネスとしても間口の広い森林投資、皆さんなら何の木を植えますか?銀行員の方は樫(貸し)ですか?新興企業の方ならグングン伸びる杉がイメージですね。証券業の末席にいる私なら、やはり金のなる木を植えたいです。ただ、凝り性のオタクの皆さんは、森林投資にハマって今度は牧場(マキバ)系と呼ばれないようにお気をつけ下さい。
(※1)開発途上地域の最低所得層=Bottom (Base) of Pyramidに対し、様々な課題解決(生活必需品提供、貧困解決等)を図るビジネス。
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