企業にとってソーシャルメディアは諸刃の剣

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2010年10月14日

  • 清水 克哉
先日、筆者が米国で使用する銀行から申し込んだ覚えの無い年会費有料のデビットカードが突然送られてきた。その少し前に、口座開設時に書類不備があったと銀行担当者から連絡があり、ほぼ有無を言わさずに書類にサインをさせられていた。このサインが原因であった可能性が高く、確認不足だったとはいえ筆者の銀行への不信感は増した。その後すぐに解約手続きを行い問題は起きなかったものの、余計な時間を取られたことが悔やまれる。

その後、筆者は同僚達に銀行への不満を漏らした。では、筆者がもしもこれをソーシャルメディアへ投稿した場合どうだっただろうか。情報が伝わる範囲が言葉よりも格段に広く、また伝播速度は速くなっただろう。実際に現在、米国の銀行への不満を持つ顧客がソーシャルメディアへその不満を投稿している。そして投稿を読んだ人がその内容に共感し、次々と批判的な意見が投稿されている例もある。

ソーシャルメディアの利用が普及拡大したことで、利用者は不特定多数との情報共有・交換を容易に且つ素早く行うことが可能になった。特に企業に関する情報には、特定企業名を挙げた批判的な内容も多く見られる。そういった投稿を放置することが企業ブランドを傷つけることになると多くの米国企業は懸念している。

最近、米国の大手企業の多くがこの問題への対策に取り組んでいる。彼らは、ソーシャルメディア上に投稿されている自社への批判的な投稿を検知し、即座にフォローアップするなどの対応を行っている。例えば、ミニブログ上で誰かが企業への不満をつぶやいた場合、担当者はその対応を閲覧者全員に公開する形で投稿する。このように批判的な投稿に対して第三者にも見える形で大げさにフォローすることで、逆に手厚いカスタマーサポートを行っていることを強調しているのである。

批判的な投稿を未然に防ぐことは難しい。企業にとってソーシャルメディアは、宣伝やカスタマーサポートなどへ有効利用できるものの、一方では一般利用者からの誹謗中傷の温床にもなりかねず、いわば諸刃の剣である。企業は、ソーシャルメディアを有効に利用するだけではなく、前述の米国企業による大げさな顧客対応の様に、害となる投稿を逆手に取るアイデアも重要となる。

日本企業のサービス品質は世界的に良いと言われている。であるからこそ、サービス品質が少しでも落ちれば企業へ不満を抱く顧客が増加する可能性がある。ビジネスシーンでのソーシャルメディアの役割は日に日に増している。日本企業は米国同様又はそれ以上にソーシャルメディアの利用に注意する必要があるだろう。

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